自民党税制調査会は10月28日、2015年度の導入を検討していたパチンコ税を見送る方針を固めた。パチンコ税導入については今年2月に自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」が有識者を招いて話し合いを持ったことに端を発している。
自民党税制調査会は10月28日、2015年度の導入を検討していたパチンコ税を見送る方針を固めた。今年はじめ、法人税の実効税率引き下げに伴い、財源の確保として急浮上したパチンコ税。2月に自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」が有識者を招いて、パチンコ税導入について話し合いを持ったことに端を発している。地方の社会保障財源としても期待がかかり、また、自民党、日本維新の会、生活の党がカジノを含む統合型リゾート(IR)推進法案を提出したことにも合わせて、日本国内で利用者の多いパチンコに注目が集まった。カジノでの換金時に徴税するというのならパチンコも同様にと、税収の対象として改めて制度を見直していくことが求められていたのだ。
現在パチンコでは風俗営業法により、現金または有価証券を賞品として提供することが禁止されている。そのため店が客に提供するのは景品物に限られているが、客は景品交換所で景品を販売し現金を受け取ることができる仕組みが一般的だ。こうした「三店方式」によって営業されているパチンコは、「ギャンブル」とみなされていない。
パチンコ税の検討案では、客が出玉をそのまま現金に引き換えることを認め、その現金に課税するという方法が考えられていた。パチンコで換金される現金に1%の課税をかけると年間約2,000億円にもなるとの試算も出ており、高い税収が見込まれていたが、消費税10%増税の決断も迫られており、新たな税制を加えるのは国民生活を圧迫し混乱を招きかねないとして、自民は先送りする方針へ傾いた。
党税調幹部は、「若手議員に課題を引き継ぐ」との旨を述べ、再び検討していく機会を設ける考えを示した。一方、パチンコ税導入に関して時事通信が10月10日~13日に実施した実施した2,000人規模の世論調査では、賛成意見は77.7%で、反対意見は15.0%だった。世論も後押ししており、今後もパチンコ税導入の可能性はゼロになったわけではない。しかし法改正を実施し換金を認めれば、パチンコはギャンブルとして合法的に成り立ってしまう。治安の悪化も懸念されるところであり、慎重に考えていきたいものだ。(編集担当:久保田雄城)