大豆イソフラボンが女性ホルモンである「エストロゲン」に似た働きをすることから人気を博し、爆発的な普及を見せた豆乳をはじめとする大豆食品や大豆由来機能素材。しかし、大豆イソフラボンの過剰摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘され、厚生労働省食品安全委員会による総摂取量の上限値目安が発表されて以来、市場は伸び悩んでいた。その大豆関連食品・大豆由来機能素材の市場が回復を見せ、各企業も積極的に研究・製品開発を実施している。
富士経済研究所の清涼飲料市場調査によると、豆乳類の2011年市場規模は383億円であったものが、2012年には前年比104.2%の399億円が見込まれ、2013年には407億円にまで伸長すると予測。さらに、JIS規格では豆乳類には該当しない大豆飲料も、2011年は37億円であったものが2012年には前年比129.7%の48億円、2013年には53億円にまで拡大すると予測されている。このように、飲料・食品としての摂取が中心となっている大豆イソフラボンであるが、近時は美容・化粧品としても注目を集めているようである。
5月28日、ドクターシーラボが大豆の40倍のイソフラボンを含有する「プエラリアミリフィカ根エキス」を含む「3種の女性ホルモン様成分」を配合することで、年齢と共に下垂しがちなバストをハリ・弾力・ボリュームに溢れるバストへ導くバスト用クリームの販売を開始している。エストロゲンの分泌を活性化させることで、バストに押し上げるようなハリ・弾力をもたらすという。
また3月には常盤薬品が、大豆イソフラボンの美白作用とメカニズムを発見したと発表。メラニンの生成を促進する重要な酵素として、チロシナーゼと並びDCT(ドーパクロムトートメラーゼ)がある。大豆イソフラボンに含まれるゲニステインに、このDCTを抑制する効果のあることが明らかになったという。近年の美白スキンケア化粧品には、チロシナーゼを抑制する有効成分を配合したものが多くみられるが、これらに加えてDCTを抑制する素材を配合することで、従来のスキンケア化粧品よりも高い効果につながることが期待できる。
再び脚光を浴び始めた大豆イソフラボン。この背景には、大豆イソフラボンに対する正確な情報の普及があげられるであろう。この脚光を一時的なものとせず、健康食品としてだけでなく美容品としての価値も発信することで、安定的なポジションを確保することができるのであろうか。注目が集まりそうである。