「地域コミュニティ意識を計測する尺度」とは? 

2015年10月25日 13:35

 「地域コミュニティ意識を計測する尺度」なるものが登場した。東京ガス<9531>都市生活研究所が開発した「地域コミュニティ意識を計測する尺度」は、計測尺度を用いた分析により、地域の特徴や地域の強み弱みを把握することができるという

 これまで、地域の特徴を把握し、生活者の地域コミュニティ意識を簡易に計測する手法は確立されていなかった。そこで、都市生活研究所では、社会心理学の大学有識者との共同研究により、生活者の地域コミュニティ意識を計測する「地域コミュニティ意識の計測尺度」を開発した。計測尺度を用いた分析により、地域の特徴や地域の強み弱みを把握することができ、まちづくりやコミュニティづくりに活用できるという。都市生活研究所では、今後も継続的に地域コミュニティ意識について調査研究を進めて行く予定である。

 その概要は、既存研究を参考として、①コミュニティ要因、②パーソナル心理要因、③総合評価の3つの視点でまとめた。コミュニティ要因は生活者が地域コミュニティに対して求めるニーズであり実生活で重視する要因である。パーソナル心理要因は、地域コミュニティに対してつながりを感じるかといった情緒的な要因である。総合評価は地域の総合的な評価(地域の生活満足と定住意向)である。

 また、「コミュニティ要因」と「パーソナル心理要因」に関連する116項目の中から、「総合評価」との関係性の強い26項目を選定し、総合評価の2項目と合わせて計測尺度とした。計測尺度分析の活用法は、地域の特徴の把握として、コミュニティカルテを通して、対象となる地域の特徴を視覚的にわかりやすく多面的に把握することができる。同一の指標による地域間の特徴の比較や、まちづくりやコミュニティづくりの前後で調査を行うことにより、定量的な効果の測定が可能となる。

 地域の強みと弱みの把握としては、コミュニティプロット図を通して、対象となる地域におけるコミュニティ要因の満足度と重視度の相対的な関係が分かり、地域の強みと弱みを把握することができる。これにより、地域の特性を考慮した改善のポイントが明らかになるとしている。

 地域の総合評価に作用する要素の把握としては、地域の総合評価に作用する要因の分析を通して、対象となる地域におけるコミュニティ要因、パーソナル心理要因の各要素と、生活満足や定住意向との関係性を把握することができる。これにより、居住者の生活満足や定住意向を高める改善のポイントが明らかになる。

 そして、計測尺度の開発にあたり、全体傾向の把握のためエリアを無作為に抽出した一都三県全体を対象とした調査、立地・住居形態の特徴的な7タイプ25地域を対象とした調査を行った。(編集担当:慶尾六郎)