都心の仕事を地方の在宅で 瀬戸内市と富士通エフサスがクラウドサービスによる実証実験を開始

2015年07月26日 14:28

 都心部で発注された仕事を地方の、しかも在宅でこなせるようになるか。岡山県瀬戸内市と富士通エフサスは、テレワークにより都心の仕事を地方移住者が在宅で従事可能とすることで移住者増を促すことを目的とする実証実験を8月1日より開始する。

 瀬戸内市は、人口減少や少子高齢化に伴う地域経済衰退の危機感から、定住人口増加を図るべく、「I ターン」「U ターン」「J ターン」を推進し、移住希望者の子育て支援、住居確保、就農支援などを積極的に行ってきた。この実証実験は、その一環として、サイボウズのクラウドサービス「kintone (キントーン)」を活用したテレワーク環境を構築することで、都心部で発注された仕事を瀬戸内市内の在宅労働者が従事するという新しいワークスタイルの可能性を検証するもの。

 実証実験が成功すれば、都心から地方への移住を望む方、子育てや親の介護で時間に制約がある方などは、地方での在宅勤務の道が拓け、働き方の多様性が拡がることになるという。富士通エフサスは、実証実験の成果を踏まえ、地方自治体が抱える人口減少問題の解決に効果的な仕組みを構築し、他地域へ展開することで、地方創生に貢献するとともに、ICT を活用した新たなワークスタイルを提案する。

 実験の具体的な内容は、瀬戸内市と富士通エフサスが、都心から在宅で作業可能な仕事とテレワーク環境を提供するとともに、サイボウズの「 kintone 」による業務管理、勤怠管理を行なう。これにより、都心からの移住者や育児・介護などで時間的制約のある人が、各々の「スキル」と「ライフスタイル」に合った働き方を行うことが可能か、またその際のコスト、品質、生産性などを評価・検証する。

 そして、瀬戸内市が移住希望者を募集し、移住者にテレワークに必要なICT環境の導入を支援する。また、瀬戸内市内にある地域コミュニティ(自治会や地域団体)が移住者に対し、住宅ならびに就農支援などを実施する。

 移住者は業務委託会社(人材派遣会社及び地場企業など)に在籍し、在宅でも作業可能な仕事(提案書、マニュアル作成、プログラミングなど)に従事する。富士通エフサスは kintone および Cisco WebEx Meeting Center (注1)を活用したテレワーク環境を構築し、在宅勤務者に業務を依頼するとともに業務管理や勤怠管理を実施する。

 実施期間は8月1日~2016年9月30日の予定で、対象者は都心部より瀬戸内市への移住を希望する方で、IT 関連業務の従事経験があり、かつ1カ月あたり80時間程度在宅で働ける方となっている。募集期間は8月1日~12月31日の予定。応募方法は瀬戸内市ホームページにて掲載している。

 岡山県の東南部に位置する瀬戸内市は、人口約3万8000人(2015年5月1日時点)で、市の西端を南北に一級河川吉井川が流れ、中央部には千町平野が広がっている。 瀬戸内の温暖な気候に加え、災害が少なく、竹久夢二の生家や備前長船の刀剣など優れた文化資源にも恵まれているという。都会の生活に疲れた方、一考してみてはいかがだろうか。(編集担当:慶尾六郎)