大日本印刷が、コンデンサーや抵抗器などの受動部品を内蔵したマザーボードを世界で初めて開発したと発表。10から30%の小型化と電気特性の向上を実現しており、薄型化・小型化が求められるスマートフォン向けに6月より本格販売を開始する。
スマートフォンの高機能化にともない電力使用量が増加し、十分な電池のスペースを確保する必要があるため、搭載する電子部品の更なる薄型化・小型化へのニーズが高い状況にある。大日本印刷はこれまで、携帯端末などの各種モジュール向けに6から8層からなる部品内蔵プリント基板を提供していたが、今回、12~14層と多層化。スマートフォンのマザーボードには一般的に500から600個の電子部品が搭載されるが、その半数の受動部品が内蔵できるため、マザーボードの表面積を従来よりも10から30%小さくすることが可能になったという。また、部品を内蔵することで、マザーボード表面の能動部品(ICチップなど)との接続距離も短くなるため、電気特性が安定して信頼性も向上している。
今回の新製品は、昨年10月から先行して特定ユーザーに製品を提供していたもの。京セラのスマートフォン「DIGNO ISW11K」(2011年10月発売)のマザーボードとして本製品が採用されており、おサイフケータイR、ワンセグ、赤外線通信などの機能を搭載した「オールインワン」タイプでありながら、約8.7mmの薄さを実現している。
業界に先がけて2006年に受動部品を内蔵したプリント基板の量産を開始し、2008年には、受動部品に加えて能動部品も内蔵可能なプリント基板の量産を開始した大日本印刷。また、薄型化の取り組みも進めており、2011年には世界最薄の0.28mm厚(7層)を実現している。スマートフォン用マザーボードを含む部品内蔵プリント基板事業全体で、2013年度に40億円の売上を見込んでいるというが、今回の新製品を、スマートフォン関連市場の好調な波にうまく乗せることが出来るであろうか。注目が集まるところであろう。