三菱重工業が、インドネシアで建設が進められてきた出力81.5万kWの超臨界圧石炭焚き火力発電所が竣工し、発注元である発電事業会社、パイトン・エナジー社に引き渡したと発表。同国で初めての超臨界圧技術を採用した石炭焚き火力発電所で、出力、効率とも同国最高。運転開始後は、長期売電契約に基づいてインドネシア国営電力会社に30年間電力を供給して、急増する同国の電力需要に応えることとなる。
発注元のパイトン・エナジー社は、インドネシアの独立発電事業者。同社は1995年に設立された事業会社で、三井物産、英International Power、東京電力、PT バツ・ヒタム・ペルカサが出資している。パイトン発電所増設プロジェクトは2008年にスタート。超臨界圧石炭焚き火力発電所が建設されたのは、東ジャワ州の州都スラバヤから南東約150kmのパイトン地区で、パイトン・エナジー社が1999年より運営している総発電容量122万kWの既設発電所と同じサイト内に設置された。超臨界圧石炭焚き火力発電は、通常の亜臨界圧火力に比べ発電効率が高く、石炭の消費量を抑えるとともに、CO2の発生量も削減できるのが特徴。主要設備は蒸気タービン、超臨界圧ボイラーなどからなる。三菱重工は、蒸気タービン・ボイラーなどの機器の製造・供給を担当し、現地工事は三井物産と東亜建設工業が共同で手掛けた。
インドネシアでは、急速な経済発展に伴う電力需要に対応するため、数多くの火力発電所プロジェクトが進行している。それと同時に、環太平洋火山帯に属するインドネシアは、領内の地熱発電資源量が世界第1位であり、経済面でもエネルギー安全保障面でも望ましい地熱発電プロジェクトも多く進行している。一方で、同様に環太平洋火山帯に属する日本での地熱発電プロジェクトはどうか。温泉街や国定公園指定など課題は多い日本での地熱発電であるが、地熱発電資源量が世界第3位と恵まれた状況を無駄にする手は無い。日本でも地熱発電に関する議論やプロジェクトがもっと活発に実施されても良いのではないだろうか。