原子力規制委員会の田中俊一委員長は1日の衆院文部科学委員会での閉会中審査で、さきに馳浩文部科学大臣に行った高速増殖炉『もんじゅ』に関する勧告について「廃炉までを求めているものではないし、廃炉には言及していない」と民主党の平野博文元文部科学大臣の質問に答えた。
田中委員長は「廃炉にするかどうか判断する立場にはない」としたうえで「求めているのは、もんじゅの保守・管理に関し『的確に』、『速やかに』対応していける組織が必要ということ」と強調した。
田中委員長は日本原子力研究開発機構には「もんじゅの安全確保・管理能力がない」とし運転するなら他の組織を探すよう、探す期限を半年以内と区切ったうえで勧告した。
勧告を受けた文部科学省の馳浩文部科学大臣は「今回の勧告を、廃炉を前提とした勧告とは考えていない」とし「核燃料サイクル政策の推進の中で、もんじゅは核燃料サイクルの研究開発において重要な施設。高速増殖炉は限られたウラン燃料を有効に使い、放射性廃棄物をより少なくすることが可能となるもので、研究開発は我が国のみならず、世界の為にも重要」との認識を示した。
そのうえで「勧告内容を吟味し、期日も設けられているので、速やかに専門家による検討の場を設けたうえで安全に運転をする、保守・点検をしっかりすることを踏まえた対応をしたい」と答えた。
平野議員は「わたしも、そうやって言い続けてきた。がっかり感ばかり味わわされた。田中委員長は日本原子力研究開発機構に代わるところを6か月以内に出すよう勧告しているが、出るはずがないと思う。出るのだったら、10何年間、何とかしなきゃ、何とかしなきゃと言ってきたのだから、出来ているはず。原子力規制委員会の勧告は事実上の『もんじゅ廃炉』を求めている気がしてならない。(文部科学大臣は)褌(ふんどし)を締め直して、やる(取り組む)のか」と質した。
馳大臣は「野党当時に、平野議員と同じような質問をしたことを今、思い出していた。今回の勧告の趣旨を重く受け止め、取り組まなければいけない」と自覚を示し、答弁した。(編集担当:森高龍二)