前週末18日のNYダウはGEやモルガン・スタンレーなどの好決算を受けて53ドル高で、昨年来高値を更新し三連休中。オバマ大統領は2期目に入った。21日朝方の為替レートはドル円が90円台前半、ユーロ円が120円台前半で大台をしっかりキープ。日本経済の2013年最初のビッグイベント、日銀の金融政策決定会合1日目を迎え、日経平均を11000円台に乗せる準備は整った。
ところが始値は28.15円高の10941.45円と伸び悩み、直後からマイナス圏に沈んでどんどん切り下がり、一時は10800円も割る意外な展開。株価に引きずられるように為替も円高に振れた。「また政治家が余計なことを言ったか?」「ドイツ地方選挙の与党敗北の影響か?」など憶測が乱れ飛んだが、単なる利食い売りだった。その後は10800円台で変動幅の大きい動きが続いたが、午後2時頃からは一段安で10700円台に下げて持ち直しの兆しすらなく、終値は165.56円安の10747.74円で「寄り天、安値引け」の1日になった。
しかし、東証1部全体では877対690で値下がり銘柄よりも値上がり銘柄のほうが多く、TOPIXは-6.28の905.16と900台を維持できていた。為替は大引け時点でドル円は89円台半ば、ユーロ円は119円台前半で3ケタ安になるほどの円高とも思えず、売買高33億円、売買代金1兆7949億円は前週をやや下回る程度で、小型株指数はプラスで個人投資家の商いは活発だった。
海外機関投資家の利益確定売りが日経平均の下落の主因だったことは、ファーストリテイリング<9983>が840円安で値下がり率5位、ファナック<6954>が580円安で値下がり率2位、さらにソフトバンク<9984>も52円安で、「御三家」が日経平均マイナス寄与度1~3位を占め、合計で63円押し下げたことでわかる。しかし、日銀の金融政策決定会合の結果が出る前になぜ大規模に売ったのか、「相場の過熱感」だけでは疑問が残る。
業種別では石油・石炭、鉱業、空運、小売の4業種しかプラスにならなかった。下落幅が大きいのは保険、倉庫、食品、銀行、ゴム、証券、機械で、保険の下落は第一生命<8750>の大幅安が効いていた。円高のせいでトヨタ<7203>、マツダ<7261>など自動車株も、シャープ<6753>、東芝<6502>など電機株も、新日鉄住金<5401>など鉄鋼株も軒並み売られ、みずほ<8411>、三菱UFJ<8306>など銀行株も不調だった。ボーイング社が納入を一時停止した787関連は、胴体を作る富士重工<7270>は値下がり率3位、飛行制御装置を作るナブテスコ<6268>は同5位に入ったが、煙を出したバッテリーを作り国交省が立ち入り調査に入ると報じられたGSユアサ は悪材料出尽くしなのか、3円高だった。
一方、「ノンバンク大商い兄弟」のオリコ<8585>は19円高で売買高5位、アイフル<8515>は27円高で売買代金2位と買われている。値上がり率のベストテンには、1位のGSIクレオス<8101>、2位のミヨシ油脂<4404>、3位の井筒屋<8260>、4位の日本化成<4007>など終値100円台の銘柄が6つもランクインし、全面安の中でも個人投資家の低位株トレードがいかに活発だったかを物語る。鉄スクラップ価格の上昇で今期最終赤字が165億円に拡大すると発表した東京製鐵<5423>は、序盤の下げから切り返して30円高になった。
今日の主役はソニー<6758>。売買代金は1162億円でダントツの1位。38円高で一時は8ヵ月ぶりに株価が1200円台を回復した。パナソニック<6752>も13円高で、この日、TOPIXが900を割らなかったのは、この2社が主力株、輸出関連銘柄総崩れの中でよく踏ん張ってくれたおかげ、とも言える。(編集担当:寺尾淳)