11月の全国企業倒産は711件 11月度としては1990年以来の低水準に

2015年12月11日 08:21

 東京商工リサーチの調査によると、2015年11月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が711件、負債総額は1,416億5,000万円だった。倒産件数は、前年同月比3.3%減(25件減)で、8カ月連続で前年同月を下回った。また11月度としては、1990年(633件)以来の低水準だった。

 金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援や、大手輸出企業を中心とした業績拡大に牽引される形で景気が底上げされていることも影響した。ただし、前年同月比での減少率は、今年最低にとどまり今後の推移が注目されるとしている。

 一方、負債総額は前年同月比22.6%増(261億7,300万円増)で2カ月ぶりに前年同月を上回った。10億円以上の大型倒産が24件(前年同月18件)と、8カ月ぶりに前年同月を上回り、このうち負債100億円の大型倒産が2カ月ぶりに発生した。ただし、11月度としては過去20年間で3番目に少ない水準だった。

 11月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。こうしたなか、製造業は112件(前年同月比23.0%増)で3カ月ぶりに前年同月を上回った。内訳では、外衣・シャツ製造(6→12件)、惣菜製造などを含む、その他の食料品製造(2→8件)などで増加が目立った。また、小売業が97件(前年同月比42.6%増)で2カ月ぶりに前年同月を上回り、内訳では電気機械器具などの機械器具小売(3→12件)で増加した。不動産業は26件(同13.0%増)で6カ月ぶりに前年同月を上回った。

 一方、建設業は138件(前年同月比3.4%減)で17カ月連続で前年同月を下回ったが、内訳では土木工事が2年4カ月ぶりに増加に転じた。また、卸売業は110件(同11.2%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。サービス業他が163件(同22.7%減)で4カ月連続で前年同月を下回り、運輸業も26件(同18.7%減)で2カ月連続で減少した。金融保険業は今年最多の11件(同120.0%増)になった。

 11月の地区別倒産件数は、9地区のうち6地区で前年同月を下回った。こうしたなか、関東は287件(前年同月比3.9%増)で2カ月連続で前年同月を上回った。また、九州59件(同7.2%増)と北海道15件(同7.1%増)がともに2カ月ぶりに前年同月を上回った。

 産業別では関東が機械器具小売などの小売業(17→34件)や印刷・同関連業を含む製造業(33→45件)などで増加が目立った。九州は建設業(7→19件)や飲食料品などの小売業(5→14件)などで増加をみせた。一方、北陸が18件(前年同月比10.0%減)で15カ月連続、近畿は184件(同2.6%減)で3カ月連続の減少。中部82件(同12.7%減)と中国25件(同28.5%減)がそれぞれ5カ月連続の減少。東北28件(同26.3%減)と四国13件(同13.3%減)がともに2カ月ぶりに減少に転じた。このうち、北海道が今年最少にとどまったとしている。 (編集担当:慶尾六郎)