11月の「東日本大震災」関連倒産は6件 8カ月連続で前年同月を下回る

2015年12月04日 09:34

 東京商工リサーチによると、11月の「東日本大震災」関連倒産は6件(速報値:11月30日現在)で、8カ月連続で前年同月を下回った。地区別では直接被災地の東北が2011年3月の調査開始以来、初めてゼロになり収束傾向を強めた。ただし、震災から4年半を経過して累計件数は1,673件(11月30日現在)に達している。11月の負債総額は22億3,000万円で、3カ月ぶりに前年同月を上回ったという。

 11月の倒産事例としては、青果物卸の菜果直販がある。同社は、茨城県常陸太田市の自社農場「茨城白土ファーム」で生産された各種青果物の卸売を行うほか、海外からの青果物輸入も取り扱っていた。しかし、東日本大震災で自社農場が一部被災したほか、風評被害による売上減少など採算が悪化した。業績回復ができず赤字経営から抜け出せないため破産を申請したという。

 また、照明器具販売のユニバーサル照明は、高級品や輸入品などの白熱電球を中心に取り扱い差別化に努めていたが、東日本大震災以降は、主力の吊り下げタイプ照明器具の販売が大幅に減少した、さらにLED照明の普及もあって業績不振が続き、業績を回復することができず破産を申請した。

 震災関連倒産は収束傾向を辿っているが、震災の影響をいまだに引きずり業績不振から抜け出せない企業がみられる。11月の地区別は、関東が5件、中部が1件だった。直接被災地の東北は2011年3月の調査開始以来、初めてゼロだったとしている。

 「震災関連」倒産の累計1,673件を都道府県別にみると、最多は東京の508件(11月3件)。次いで、宮城129件、北海道82件、神奈川71件、福岡70件、千葉63件、岩手61件、茨城59件、群馬55件、栃木50件、静岡48件、福島45件、大阪と山形が各44件、埼玉41件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は328件(構成比19.6%)だった。

 産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の441件(11月2件)。次いで、製造業が384件(同1件)、卸売業が307件(同1件)、建設業が206件(同ゼロ)、小売業が153件(同1件)と続く。被害型で分類すると、「間接型」1,534件(構成比91.6%)に対し、「直接型」は139件(同8.3%)だった。11月の「直接型」は1件となっている。(編集担当:慶尾六郎)