シャープが、クアルコムの子会社であるピクストロニクスと、ピクストロニクスのMEMS(微小電子機械システム)ディスプレイを共同開発することに合意したと発表。これに伴い、クアルコムと出資契約を締結し、同社を割当先とした第三者割当による新株式の発行を行う。
今回の共同開発では、優れた色再現性と低消費電力に加え、既存の生産インフラを効率的に活用できるMEMSディスプレイの実用化に向けた開発を、シャープの核となるディスプレイ技術であるIGZO技術とを融合させる。これに合わせ、シャープ米子にある液晶パネル工場に、実用化に向けた開発を行うための設備を導入。その他、次世代ディスプレイの開発と必要な投資を直ちに開始し、実用化に向けた技術開発に目処が立った段階で、装置を導入し、量産化技術の確立に向けた次のステップに進むとのこと。また、この共同開発を推進するために、クアルコムから最大で約99億円の出資を受け入れる予定だという。
プラズマクラスター効果を謳った掃除機の性能につき、カタログ等で表示している効果が、掃除機の実使用において部屋全体に同等の効果があるように誤解を与える表現になっていたとして、消費者庁から措置命令を受けたシャープ。液晶パネルが不振な中、同社を支えていたといえるプラズマクラスター効果の家電がこうした措置命令を受けたことは、少なからず今後の業績に影響があるであろう。また、太陽電池の分野で相乗効果を生みだすことを目的として合弁会社を設立し、薄膜シリコン太陽電池用プラズマCVD装置の開発を行っていた東京エレクトロンとの合弁契約が11月30日をもって解消されたなど、マイナス要因ばかりが重なっている印象が強い。今回の資本提携を、業績回復を実現し、信用回復に繋げることができるのか。注目が集まるところであろう。