ツーリングシーズン、メーカーの提案する二輪車の楽しさとは

2012年05月28日 11:00

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二輪車メーカー各社が実施している安全性や楽しさを普及させるための活動。その中でヤマハ発は昨年8月から新事業としてレンタルバイクを開始。ツーリングなどのイベントでは、元全日本ライダーの藤原儀彦氏などがインストラクターとしてサポートしている。

 二輪車メーカー各社が実施している安全性や楽しさを普及させるための活動。こうした活動には、ビギナーや女性ライダー、リターンライダーなどをターゲットとした取り組みが多く、各社系列の教習所などで多様なスクールが開校されている。

 スズキは、スズキ二輪所有者や購入決定者を対象に、基本操作から「危険予測」「ABS体験走行」「ハイウェイ体験走行」などを実施。ホンダグループのレインボーモータースクールでも、ホンダモーターサイクリストスクールと称して、基本操作を身につける初級コースや、コーススラロームを中心にトレーニングするスラローム スペシャルコースを設置して、技術向上を目指す人や、運転に自信の無い免許取得者を支援している。

 こうした中、ヤマハ発は、ペーパーライダースクールやトライアル・オフロードスクールだけでなく一風変わった取り組みで注目を集めている。それは、ヤマハ直営の二輪免許専門自動車学校ヤマハテクニカルセンターで昨年8月から新事業として開始されたレンタルバイクである。免許は持っているがバイクを持っていない人や、バイクを買う前に試乗したいといった人に向けて開始されたレンタル事業。最新モデルに乗ってみたい、その日の目的や気分によって様々な車種を使い分けたいといったニーズに応えるレンタルバイクは、自動車学校が実施しているという点を除いては目新しいものではない。ヤマハテクニカルセンターが注目を集める理由は、レンタルバイクを使ったツーリングを実施している点である。

 毎月1回、現在までに5回行われているレンタルバイクを使ったツーリングでは、浜名湖一周グルメツーリングや紅葉と温泉を巡るツーリング、海の幸グルメツーリング等を実施している。さらに、走行マナーや安全運転の技術・心構えなどを指導するインストラクターに、プロのレーシングライダーを起用。国内の二輪レースが最盛期であった1980年代に、最高峰の500ccクラスで3年連続チャンピオンに輝き、第一線を退いた後もトップカテゴリーの開発ライダーを24年間に渡って務めた藤原儀彦氏、鈴鹿8H耐久レースでの優勝経験を持つ平忠彦氏といった全盛期のスーパースターが、ツーリングを通じて安全で楽しいバイクライフをサポートしてくれるのである。憧れのバイクに再チャレンジするリターンライダーにとって、80年代の憧れのスーパースターとツーリングできる絶好の機会となっており、さらに、ランチ・グルメにも焦点を当てたツーリングであるため、女性の利用者も多いという。

 ツーリングの機会や楽しみ方を提供するこうした取り組みは、安心出来る上に同じ趣味を持つ仲間をみつけることができるなど、今まで躊躇していた免許保持者が初めの一歩を踏み出す為の後押しとなる。また、メーカー側にとっても、今まで潜在していた需要を掘り起こす絶好の機会といえるであろう。これからのツーリングシーズンに向け、メーカーが遊び方を提案するような取り組みは、今後も広がっていくのではないだろうか。