日本企業の海外事業、中国から米国にシフトか 一方インドへの関心も

2016年03月17日 08:36

画・日本企業の海外事業、中国から米国にシフトか 一方インドへの関心も

中国の先行きが不透明な中、日本企業は中国から米国へのシフトが顕著だ。また、世界経済が失速する中で例外的に景気の拡大が続いているインドへの関心も高い。

 中国の先行きが不透明な中、日本企業は中国から米国へのシフトが顕著だ。日本在外企業協会(東京都中央区)によると、2015年の日本企業の海外派遣者数は北米で13年比+6%(6032人→6400人)を記録する一方で、中国では同年?9%(8911人→8130人)となった。

 5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)では、16年から5年間の「第13次5カ年計画」の国内総生産(GDP)成長率目標を年平均6.5%以上に決めた。16年単年の成長率目標は6.5?7.0%と、5カ年計画の最低水準であり、成長率を最優先としない姿勢が窺える。

 中国経済は依然、苦しい状況が続く。成長率を7%前後と高く掲げた場合、数字を合わせるべく財政出動を行わざるを得ない。鉄鋼や石炭産業の供給過剰が問題となっているが、財政出動に踏み切れば過剰問題が後回しになる恐れがある。低めの数字に甘んじたのは「サプライサイド(供給側)改革」を推進する中国当局の狙いが垣間見える。

 一方、世界経済が失速する中で、例外的に景気の拡大が続いている国がある。GDP成長率が中国を逆転したインドだ。日本企業の関心も高い。

 インドの経済の好調を支えているのは、「モディノミクス」と称される経済改革、原油安、中央銀行の信頼感の3つの柱である。「メイク・イン・インディア」をスローガンに掲げ、製造業の拡大を図り、外資の導入、インフラ整備、税制の簡素化などを推し進めた。高いインフレ率を下げ、物価の安定を取り戻したRBI(インド準備銀行、中央銀行)ラジャン総裁の手腕も大きい。加えて、原油安が追い風となり、インフレの抑制に大きく貢献した。

 今後、インドはどこまで発展を遂げられるのか。新興国の長期的な成長を考える時に注意したいのが「中所得国の罠」だ。この罠にはまると、新興国が中程度の所得を得るまで発展を遂げるも、成長パターンの転換がうまくいかず、構造改革の遅れによって成長率が下がり、長期停滞を余儀なくされる。中国もこの罠に落ちた恐れがある。インドは一人当たりのGDPが2000ドル以下で、他の新興国よりも伸びしろが大きい。日本経済に対しても計り知れない影響力を秘めている。(編集担当:久保田雄城)