住友生命、米中堅保険会社を4666億円で買収

2015年08月16日 18:18

 国内の生命保険会社が積極的に海外に乗り出し収益拡大をはかるなか、住友生命保険が11日、アメリカの中堅保険会社「シメトラ・ファイナンシャル」を約4666億円で買収するとの発表を行った。買収後も「シメトラ・ファイナンシャル」の経営陣は残るが、住友生命保険から取締役が送られる。住友生命保険はこの買収により、生命保険の世界最大市場であるアメリカに進出し収益拡大をはかりたい考えだ。

 住友生命保険は1株あたり32ドルで「シメトラ・ファイナンシャル」の全株式を取得。買収金額は約4666億円となる。今後は、「シメトラ・ファイナンシャル」の株主総会での承認や日米監督当局の認可を経て、「シメトラ・ファイナンシャル」を完全子会社とする予定だ。買収資金は手元資金で対応する。

 「シメトラ・ファイナンシャル」は1957年に設立されたアメリカの中堅保険会社で、ワシントン州に拠点を置いている。顧客数は約170万人で、企業向けの団体保険に強いという特徴がある。去年1年間の売り上げに相当する保険料収入額は約4340億円に上る。なお、この買収により同社のニューヨーク証券取引所への上場は廃止となる。

 今回の買収により、住友生命保険の保険料収入は単純合算で年間約3兆円になり、本業の利益に占める海外事業の比率は、今の0.4%から8%に拡大する。国内の市場が人口減少にともない縮小傾向にある一方、世界最大の市場であるアメリカは人口の増加が予想されることから、今後も成長が見込まれている。アメリカの保険市場は66兆円で、世界全体の約2割を占めている。そのアメリカ市場に対して、住友生命保険は今回の買収により本格進出をはたす。

 国内の生命保険会社は、ここのところ相次いでアメリカで大型のM&A(合併・買収)を行い、積極的に収益拡大をはかっている。先月も明治安田生命保険が「スタンコープ・ファイナンシャル・グループ」を約6250億円で買収すると発表したほか、第一生命保険<8750>も「プロテクティブ生命」を約5750億円で買収するなど、活発な動きをみせている。(編集担当:滝川幸平)