国内外で日本製が好調 資生堂ら内需系企業が投資拡大へ

2016年03月01日 08:53

 国内外で日本製製品の良さが見直されている。国内では社会現象となった訪日中国人の「爆買い」が続く中、海外事業を拡大するチャンスとして、内需系企業が動き始めている。日銀のマイナス金利によって金融市場が混乱の渦中にあるが、企業は「資金調達にプラス」と見ているようだ。

 資生堂<4911>は2016年12月期の設備投資に前期比399億円増の738億円を計画。130億円を投資して横浜に「グローバルイノベーションセンター」、210億円で大阪に工場を新設する予定だ。グローバルイノベーションセンターは、化粧品研究施設としては世界最大級で、世界各地の現地ニーズに根差した商品開発体制の強化を図る。工場新設は37年ぶりであり、魚谷雅彦社長は「メイドインジャパンとしての価値を高める」としている。

 ユニ・チャーム<8113>も設備投資を増やす方針だ。中国では日本製のベビー紙おむつの需要が高く、スーパープレミアムクラスの人気が上昇しているという。「今の需要構造を見ると、メイドインジャパンという前提条件が必要となる」として、中国にあるスタンダードクラス向けの設備を日本に移し、スーパープレミアム用に切り替え、国内での設備を増強した。

 花王<4452>も過去最高水準の計画を打ち出している。紙おむつの増産、小田原に新設する化粧品研究所などに投資するという。

 アサヒグループホールディングス<2502>の小路次期社長は、金利低下環境を「積極的な成長投資に向けては、有利な状況になってくる」と歓迎。SABミラーが保有するビールブランド「ペローニ」など欧州4事業を買収し、海外事業の拡大を図る。過去最大となる3,300億円を投じた。

 世界景気の動向が不透明な中、メイドインジャパンがどれほど健闘するのか。勢いがあるに違いないが、「日本製」そして「投資戦略」といえば、テレビ事業で苦戦を強いられた家電メーカーが脳裏をよぎる。この波に乗り切れるか注目したい。(編集担当:久保田雄城)