グローバル・イノベーター2012、日本企業は2社減

2012年12月05日 11:00

 トムソン・ロイターが4日、2012年の世界で最も革新的な企業・研究機関100社を「グローバル・イノベーター2012」に選出し発表。アジアからの選出数は前年より増加したものの、日本からの選出は25社と、前年の27社から減少している。

 「グローバル・イノベーター2012」とは、トムソン・ロイターが、革新的な発見や試みで世界をリードする企業や組織を選出するため、過去3~5年間の特許データを基に独自の選定基準を加えて評価・分析を実施して選出するもの。評価の基準は、特許数や成功率、特許ポートフォリオの世界的な広がり、論文や特許公報での引用における影響力の4つが基本とされている。2011年から開始されており、今年で2回目となる。今年選出された100社・機関の時価総額加重平均売上高は15%で、S&P500の12%を3ポイント上回っており、財務分析上でも優位性が示されているという。また地域別で最も多かったのは米国で47社・機関、アジアが32社・機関と続いた。

 「TOP100グローバル・イノベーター2012」に選出された日本企業は、キヤノンやデンソー、富士通や日立製作所などの大半が昨年に引き続き選出されている一方、TDKや 三菱重工業 、リコーが初選出となった。ちなみに、TDKの2013年3月期上半期連結業績は、売上高前年同期比0.1%減、営業利益同40.9%増。三菱重工の売上高は前年同四半期2.5%増、営業利益同35.4%減。リコーの連結売上高は前年同期比2.3%減となったものの前第2四半期が営業損失20億円から営業利益273億円へと伸長している。

 昨年同様、アジアから選出された企業は日本と韓国の2カ国のみ。韓国は前年の4社から7社・機関に増加している。これは、韓国政府による積極的なイノベーションの推進を背景に、学術機関や科学研究機関が受賞したことが寄与したという。絶対数では依然として日本企業の方が多いものの、差が縮まっており、絶して楽観できる状況ではないであろう。技術大国と言われる日本ではあるが、国による適切な支援・推進策がなければ、いずれ周辺国に取って代わられる可能性がある。その危機の端緒がここに現れているのではないだろうか。