クラレが、米国のポリビニルアルコール(ポバール)フィルム製造・販売メーカーであるモノソル社を買収することを決定し、同社の親会社であるMonoSol Holdco 社と合意したと発表。日本・米国・欧州・アジアの4拠点体制で酢ビ・ポバール系事業の世界市場における拡大・強化を図ることとなる。
酢ビ・ポバール系事業とは、酢酸ビニルを主要原料とするポバール樹脂、ポバールフィルム、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、PVBフィルム、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)樹脂(当社商標<エバール>)、ビニロン繊維に代表される当社の主要製品群からなる事業。モノソル社は、洗剤・農薬・染料などの個包装、人工大理石離型用など産業用ポバールフィルムではリーディングカンパニーの位置にあった。今回の買収によりクラレは、ポバールフィルムに関し、液晶ディスプレイの基幹部材である偏光フィルム向けの光学分野だけでなく、広範な産業分野においてもグローバルリーダーになる。
2011年度の決算では、売上高前年比1.6%増、営業利益前年比3.1%増、純利益前年比9.5%増と、堅調に業績を伸長させているクラレ。営業利益は2年連続で過去最高を更新するなど、低迷する日本経済の中で好調を維持している。そんなクラレが掲げる新中期経営計画では、現在3720億円である売上高を2018年度には1兆円にすることを目標としている。この目標を達成すべく、主要事業戦略として位置づけているのが酢ビ・ポバール系事業の拡大である。その第一歩となる今回の買収およびその動向は、今後のクラレの行き先を占うものと言えるであろう。