NYダウはファイザーなど大手企業の好決算にFOMCへの期待も加わり72ドル高で14000ドルの大台まであと46ドル。30日朝方の為替レートはドル円は90円台後半、ユーロ円は122円台半ばで前日より若干円安だった。日経平均始値は47.25円高の10913.97円と10900円台を回復して始まり、その後の株価は底堅く、前場に11000円にもタッチした。前日発表されたコマツ の決算があまりにも悪かったので、「コマツショック」で輸出関連株が大幅下落かという見方もあったが、取り越し苦労に終わった。後場に国会の代表質問で安倍首相がアベノミクスを改めて強調しただけでなぜか好感され日経平均は11000円台に完全に乗り、終値は247.23円高の11113.95円と、終値大台乗せプラス100円以上のおまけがついて高値引けになった。
値上がり銘柄1396に対し値下がり銘柄216と全面高で、243銘柄が昨年来高値をつけた。大きく上げた業種は不動産、倉庫、建設、証券、情報・通信、石油・石炭、陸運などで、下げた業種は電力・ガスだけだった。
ソフトバンク<9984>は営業利益1割増で過去最高の見込みという報道で110円高。売買代金8位と活発に買われた。同じ情報・通信セクターのKDDI<9433>も200円高で続伸した。ソフトバンク関連会社のヤフー<4689>は業績予想の上方修正や自社株買い発表で4年ぶりの高値をつけて値上がり率4位。アメリカのネット関連企業の決算が好調だったことも支援材料だった。
ファーストリテイリング<9983>は990円高、ファナック<6954>は430円高で、ソフトバンクとともに日経平均寄与度の1~3位を占め、「御三家」だけで日経平均を約70円押し上げた。信越化学<4063>、京セラ<6971>、決算発表前のキヤノン<7751>なども上昇し日経平均に寄与。売買高・売買代金ランキング常連のメガバンク3行は続伸し昨年来高値を更新し、ノンバンク2社は揃って反発した。
通期業績見込みが営業利益2割増になると報じられた村田製作所<6981>は大証終値80円高。通期で80億円の黒字と報じられた川崎汽船<9107>は3円高。業績予想を純利益95億円に上方修正した日本取引所グループ(JPX)<8697>は280円の大幅高で、好決算の発表が相次いだ中小証券株も軒並み株価を上げていた。野村HD<8604>も上げている。船井電機<6839>はフィリップスの音響機器部門を買収するニュースが好感されて117円高と買われ、値上がり率13位に入った。
この日、主力株で目立ったのが「決算が悪くても終値はプラス」というパターン。市場にショックが起きなかったコマツ<6301>は悪材料出尽くしなのか前場にプラスに転じ52円高。日立建機<6305>は74円高で昨年来高値更新。三菱地所<8802>は決算が営業利益2割減にもかかわらず上昇し、三菱倉庫<9301>とともに昨年来高値を更新した。富士フイルムHD<4901>は前日、通期予想下方修正の決算を出したが終値は5円高だった。
ソニー<6758>は続落しパナソニック<6752>、シャープ<6753>ともども、巨額最終赤字三兄弟はカヤの外だった。東芝<6501>、日立<6502>もマイナスで、日産<7201>も売られた。2日前にストップ高が続出した新興市場のバイオ関連銘柄はこの日は下落が目立ち、熱しやすくて冷めやすいようだ。
今日の主役はJR東海<9022>。500円の大幅高で昨年来高値を更新した。業績好調に加え、来年10月に開業50周年を迎える新幹線の若返り工事を前倒しで実施するニュースで買われた。工事がらみで鉄建建設<1815>が20円高で値上がり率5位。東鉄工業<1835>も101円上昇している。JR東日本<9020>も昨年来高値を更新し、JR西日本<9021>も株価が上昇した。東海道新幹線は国鉄時代に月一度、水曜日に半日運休して若返り工事を行ったが、当時より高速化し運転本数も大きく増えている。もし同じことをしたらビジネス客の新幹線離れも起き営業収入への影響が大きくなるが、今回は運休を最小限にとどめ、全体のコストも抑えるという点が好感された。(編集担当:寺尾淳)