「企業のグローバル展開」がEAソリューション市場の重要な成長要因となる

2016年04月14日 08:17

 IT専門調査会社 IDC Japanは、国内EA(Enterprise Applications)ソリューション市場におけるユーザーニーズ動向の調査結果を発表した。調査対象市場は、Enterprise Resource Management(ERM)、Supply Chain Management(SCM)、Customer Relationship Management(CRM)、Product Lifecycle Management(PLM)、Analytics。国内1,014の企業を対象に2016年度(会計年)の企業の業績とIT予算の動向、同様に経営課題とITビジネスに関する支出動向、各システムの導入状況と利用実態、今後の導入予定について、2016年1月に各種調査を実施した。

 この結果、2016年度の経営課題では「経営の体制強化」や「労働力確保、生産性向上」を、情報システム戦略では「既存システムの統合、連携強化」「セキュリティ対策」「データ分析とその活用/共有」を重視していることがわかったという。一方で、複雑な社内システムの連携に際し情報システム担当者に対する「スキルと知識不足」「予算不足」というような懸念が窺えたとしている。

 前述のEAソリューション5分野においてERM(導入率96.4%)ではシステム活用の成熟度が最も低く、その機能が活用しきれていない実態が明らかとなった。しかし、経営利用のデータ分析が本格的な取り組み段階に進み、分析対象となるデータインプットに必要な新たなシステム需要や、2017年に予定されている新税制対応など複数の促進要因から、2016年度に新規導入や刷新を予定する分野では、ERMが最も高い37.6%となった。データ分析やその後のデータ共有を効率的に行うため、クラウド環境(IaaS、PaaS、SaaS)の利用が、今後のERM分野の製品導入では、従来の導入形態と比較して拡大する見込みだとしている。

 製造や金融、流通、運輸などでの海外事業展開が進み、今後は他産業も海外展開の拡大が見込まれている。TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement:環太平洋戦略的経済連携協定)など、ビジネス環境は国内外を問わず、さらなる複雑化を呈していくとIDCでは予測している。

 「国内市場はEAシステム導入後のデータ活用に向けた取り組みが加速しているが、新たなデジタルデータ取得や生成に至る前段階にある。2016年の経営課題では既存システムの統合と連携強化が重視されており、情報システム部門による社内システムの掌握とセキュリティ強化が進むとみられる。特に需要の高いERM分野における企業のシステム成熟度は低く、2016年は財務会計や人事管理でクラウド環境の利用拡大とともに第3のプラットフォームと連携することで高度化を目指す年になる」とIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストのもたい洋子氏は述べている。(編集担当:慶尾六郎)