GfKは22の国と地域の2万7,000人に企業が負うべき責任に対する意識調査を実施し、その結果を発表した。
それによると、消費者が考える最も重要な企業の責任は「優良な雇用機会の提供」だという。ただし、スウェーデン、中国では「従業員の健康・安全」がトップになり労働環境への関心の高さがうかがえる結果となった。
まず、企業が負うべき最も重要な責任は何か。雇用機会の提供、環境責任、株主への配当などの14項目から最も重要と考える項目を3つ選択してもらった。その結果、グローバル(22の国と地域)で消費者が最も重要と考える企業責任は、「優良な雇用機会を提供すること」で、次いで「質の高い製品・サービスを提供すること」、「環境責任を負うこと」であることが明らかになった。
「優良な雇用機会を提供すること」は大多数の国で最も重要な企業責任として考えられていたが、いくつかの国では異なる傾向が見られた。スウェーデンと中国で最も重要な企業責任とされたのは、「従業員の健康や安全を守ること」で、労働環境に対する意識の高さや、関心の強さがうかがえる結果となった。また、イギリスとベルギーでは唯一、「公正な割合の納税をすること」がトップ3に入った。国や地域によって重要と考える項目が異なるというこの調査結果は、企業がCSR(企業の社会的責任)に効果的に投資するにあたり、どの分野に注力すべきかを示す重要な鍵といえるとしている。
日本の状況を見ると、日本の消費者が最も重要と考える企業責任は「優良な雇用機会を提供すること」となり、グローバルの結果と等しくなった。ただし、2位には「従業員の健康や安全を守ること」が入り、グローバルで2位、3位にあげられた「質の高い製品・サービスを提供すること」や「環境責任を負うこと」より重要な企業責任と考える人が多いことが明らかになった。
また、日本の結果で特徴的であったのは、6位に「偽りなく広告・宣伝を行うこと」が入ったことで、これを重要と考える割合はグローバル平均を9ポイント上回り、調査対象の22の国や地域の中で最も高くなった。不当表示等の報道が後を絶たない中、企業は消費者に対して正直であることが評価される一方で、虚偽や誇大な表現に対しては厳しい見方をされることが伺える結果になったとしている。(編集担当:慶尾六郎)