日本電気硝子が韓国にFPD用板ガラス製造・販売の新会社設立

2012年05月17日 11:00

 日本電気硝子が、韓国において薄型パネルディスプレイ(FPD)用板ガラスの製造、販売を目的とした新会社を設立することを決定したと発表。資本金約70億円、約330億円の設備投資を行い、2013年9月の操業開始を予定している。

 FPD市場の変化が激しくなる中、高機能化・高精細化など技術面の要求が高まっており、同ガラス事業の強化のためには、主たる需要地に一貫した製造拠点を設け、得意先のニーズにより迅速に対応していくことがますます必要になっている。加えて、製造拠点の分散化し、一極集中のリスクを軽減することについても重要度が増している。こうした状況を受けての今回の新会社設立は、最新鋭の製造設備を日本から移設することにより、資金の効率化を図りつつ、生産体制を強化するものとなる。

 自動車業界をはじめ、従来の輸出主体から需要地での生産へとシフトする動きが活発な製造業。FPDメーカーについても、国内の液晶テレビ・ディスプレイメーカーが軒並み先の見えない不振に喘いでいる中、海外へと生産拠点を移転することは当然と言えるであろう。その移転先が韓国であるという点も、ディスプレー市場を牽引するサムスンやLGディスプレーといった企業が本拠を置く国であることを考えれば合点がいく。一つ気がかりな点としては、最新鋭の製造設備を新設するのではなく、日本から移設するということ。ソニーとパナソニックが有機ELで提携交渉に入ったというニュースが流れるなど、国内企業が総力を挙げた巻き返しを模索している。そうした動きを鈍化させかねないものと言えるのではないだろうか。