昭和電工が、山口大学との共同研究により、LEDを用いた植物工場における新たな栽培法を確立したと発表。本栽培法に関するライセンスの供与を行うことにより、安全安心な食糧供給方式として期待されるLED植物工場の普及を図る。
LED照明は、発光波長幅が他光源と比較して狭いことから、植物の光応答に適した波長を選択的に照射でき、結果として効率良く植物を栽培できると考えられているという。さらに、LEDを用いた光源は蛍光灯と比較し、消費電力を約3分の1に抑えられること、発熱の影響を受けずに高い光量が得られること、従来の葉菜類から果菜類・穀物まで栽培が可能となったことなどのメリットがあり、大学、各試験研究機関、一般の植物工場等で広く採用されてきた。しかし、初期投資額が蛍光灯と比べ大きく、商業施設への本格的な導入には、投資回収期間の短縮が課題となっていた。
そうした中、山口大学と昭和電工が今回開発・発表した、植物の生育により最適化したLEDの照射方法(Shigyo法)では、同じ育成期間での葉菜類の収穫量が、通常の蛍光灯および赤青比を固定したLED照明と比較して最大で3倍に増加。これにより、消費電力の抑制、収穫量の増加という両面の効果が得られ、LED植物工場において今まで課題となっていた投資回収期間の短縮が実現可能となる。また、Shigyo法は藻類培養にも有効であり、藻類を用いた有用物質製造やバイオ燃料生産への応用も期待できる。
初年度は国内商業施設への普及を目指し、将来的には海外大型施設へのライセンス供与、および燃料産業、バイオマスコンビナート事業への展開も視野に入れて事業を進めていくという今回の新栽培法。食糧自給率の向上が叫ばれて久しいものの、未だ改善の兆しが見えない日本の現状に、一石を投じるものとなれるであろうか。世界規模での、食糧の安定供給といった課題の解決に貢献し得る技術であるだけに、その普及・発展に期待が集まるところであろう。