NYダウは雇用統計発表前の様子見ムードもあり49ドル安。2月1日朝方の為替レートはドル円が91ドル台後半、ユーロ円が124ドル後半と、ドルに対しても円安が進んでいた。午前8時50分に総務省が発表した12月の失業率は0.1ポイント悪化して4.1%だったが、有効求人倍率は5ヵ月ぶりに0.02ポイント改善して0.82倍。2012年通年ではどちらも改善した。12月の実質消費支出は前年比0.7%減で市場予測を下回り、2ヵ月ぶりのマイナスだった。
2月のスタートは日経平均55.06円高の11193.72円。11200円台に何度もタッチしながら、午前10時に出た1月の中国の製造業PMIが0.2ポイント下落したこともあり前場は11100円台で推移していたが、後場はドイツの金利上昇を好感してユーロ円が125円台に、続いてドル円も2年7ヵ月ぶりに92円台に乗せるなど円安が進行して、日経平均は11200円台に定着した。ところが、大引けの30分ほど前から11100円台に逆戻りして値を切り下げる展開。大引け直前は上がったが、終値は52.68円高の11191.34円で、始値を下回りローソク足は黒。金曜日は2週連続で大引け30分前から急上昇しての高値引けが続いたが、この日は「利益確定売りの金曜日」が復活して今週の取引を終えた。それでも日経平均週足は12週連続で上昇し、1959年以来54年ぶりの記録。値上がり銘柄と値下がり銘柄は860対719で拮抗し、TOPIXは+2.40の942.65にとどまった。
業種別では鉄鋼、自動車が強く、情報通信、食品、小売、機械が続いた。逆に下落したのは海運、紙パルプ、ガラス・土石、証券、不動産、電力、電機などの業種だった。
前日好調だった鉄鋼株は、コスト改善で赤字幅縮小の決算を発表した神戸製鋼<5406>が続伸し売買高9位。JFE<5411>は前日、下方修正を発表しても円安メリットへの期待から7日続伸した。新日鉄住金<5401>も2円高で続伸し売買高10位に入った。自動車株は、トヨタ<7203>が130円高で一時株価4500円の大台に乗せ売買代金1位に入った他、ホンダ<7267>が10円高で売買代金9位、マツダ<7261>が11円高で売買高2位、売買代金8位、三菱自動車<7211>が8円高で売買高5位と、まさに大商いを伴って上昇した。自動車部品のデンソー<6902>も80円高で日経平均上昇に寄与している。
情報通信ではソフトバンク<9984>が売買代金2位と活発に買われた。185円高で、昨年9月の大型買収で凹んだ株価を取り戻し、昨年来高値を更新した。NEC<6701>は19円高と急伸し昨年来高値更新。決算内容が良く個人投資家が買いやすい200円台銘柄なので人気が出た。ファーストリテイリング<9983>は770円高で日経平均を30円押し上げ、通期業績や配当見通しを上方修正したJT<2914>も上げ足好調。地銀の北洋銀行<8524>は値上がり率3位に入っている。
この日はメガバンクの上昇は1円高のみずほ<8411>だけ。野村HD<8604>は14円安で7日ぶりに反落した。ソニー<6758>は7円安でファナック<6954>は80円安。決算が悪かった日本ガイシ<5333>は値下がり率10位、資生堂<4911>は値下がり率6位、ヤクルト本社<2267>は値下がり率3位にランクイン。大幅減益の三菱商事<8058>、通期業績下方修正のエーザイ<4523>は決算発表直後に大きく下落した。キヤノン<7751>はユーロ高にもかかわらず45円安とふるわなかった。
日経新聞で「10~12月期の営業利益が黒字転換」と報じられたシャープ<6753>は18円高で売買高8位と買いを集めた。省エネ・高精細の「IGZO」液晶パネルが好調で、大引け後に10~12月期は26億円の営業黒字と発表された。来期はV字回復のニュースが聞けるだろうか。
今日の主役は「電子部品メーカー」。通期見通しを上方修正しても、日東電工<6988>は230円高だったが、村田製作所<6981>は90円安と好対照。230円安で値下がり率12位のTDK<6762>、150円安の京セラ<6971>は日経平均の足を引っ張り、日本電産<6594>は50円安、アルプス電気<6770>は15円安、ミツミ電機<6767>は8円安だった。パソコン向けが多いTDKや日本電産や、任天堂<7974>のゲーム機と“心中”したミツミが売られ、スマホやタブレット向けも積極的に開拓する日東電工が買われるのを見ると、事業のリスク分散の重要性を改めて認識させられる。(編集担当:寺尾淳)