徹底的に低消費電流化にこだわった、超ローパワーマイコン登場

2013年02月03日 08:50

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セキュリティトークンなど、ボタン電池駆動で長時間の動作が求められる機器向けに、ロームグループのラピスセミコンダクタが開発した超ローパワーマイコン「ML610Q474ファミリ」

  マイコン開発は現在、最新機器のスマート化が進むにつれ、いかに低消費電力化を実現するのかが肝となっている。なかでも近年、普及が進むネットバンキングに必要なワンタイムパスワード生成のために用いられるセキュリティトークンや、時計といった電池駆動のアプリケーションでは、ボタン電池1個で数年の長時間安定動作が求められている。

  こうした中、ローム グループのラピスセミコンダクタは、セキュリティトークンなど、ボタン電池駆動で長時間の動作が求められる機器向けに、超ローパワーマイコン「ML610Q474ファミリ」を開発した。従来品に比べて消費電流を1/2に低減しているマイコンだという。

  同社はこれまでにも、徹底的に低消費電流化にこだわり、業界最小クラスの0.5μAを実現したML610400シリーズのマイコンを提供してきた。しかし電機機器のより一層の機能増加が進み、消費電力が増大。バッテリ寿命が短くなるという課題が生じており、さらなる低消費電力を実現した商品が求められていた。その一方で、内部の消費電流を抑えるとノイズの影響を受けやすくなり、誤作動を引き起こす可能性が高くなるという課題があり、低消費電力の実現には至っていなかった。

  今回の新製品では、内部のレギュレータと発振回路を新たに開発。独自の低リーク電流プロセスを採用することで、従来品比1/2かつ業界トップクラスの低消費電力を実現している。さらに、内部の回路やレイアウトの工夫により高いノイズ耐性が確保でき、誤作動を引き起こす可能性を抑えることに成功している。また、低消費電流と高ノイズ耐性を両立させることで、機器の安定した長時間動作も可能になっている。

  今回、低消費電流を実現したことにより、小容量の安価なコイン電池が使用できるため、利用者のシステムのコストダウンや小型化にも貢献するという。苦境が続く日本の半導体メーカーだが、このような世界の最先端を担う開発力に今後も注目していきたい。(編集担当:宮園奈美)