消費の二極化が進む中、本当に価値のある「上質な暮らし」とは?

2016年06月18日 10:10

 株式会社日本総合研究所が6月に公開した「日本経済展望」によると、今年1~3月期の実質GDP(1次速報値)は、前期比年率+1.7%と2四半期ぶりのプラス成長となった。しかし、企業部門では在庫調整があまり進展しなかったほか、設備投資も3四半期ぶりに減少するなど、景気は依然として踊り場から抜けられないでいる。

 とはいえ、一時期の不景気に比べると人々の生活にはゆとりが見え始めており、趣味を楽しんだり、健康に気を使ったり、くらしに「こだわる」志向が高くなっている。また、あらゆる消費で二極化が進んでおり、使い捨て感覚の安い商品と、こだわりをもって選択する質の高い製品とのすみ分けが明確になされるようになってきた。

 例えば、衣料品などは、高級ブランドが売り上げを順調に伸ばしている一方で、しまむら<8227>やユニクロ<9983>など、カジュアルなファストファッションの隆盛も依存として継続している。ファッションの二極化は、貧富の差と無関係ではないが、かといって、バブル期のように高級ブランドばかり着ているという人も少ないのではないだろうか。たとえ富裕層であっても、ファストファッションを普段使いしている人は珍しくない。TPOに合わせてうまく使い分けている。

 この二極化傾向がもっとも顕著に表れているのが、住宅業界ではないだろうか。近年は、少子高齢化が進み、住宅を子世代にのこす財産としてではなく、純粋に自分たち世代のみが住まうため住居と割り切る世帯が増えている。低金利の影響もあって、賃貸よりもお得だという感覚や、将来的な住み替えや買い替えなども念頭において低価格の建売住宅が人気を集める一方で、施主のこだわりや好みをいかんなく盛り込んだハイエンド住宅の需要も増えている。さらにマイナス金利の導入や消費増税の延期も追い風となり、大手住宅メーカーを中心に富裕層向け戸建住宅の拡販を強化する動きが活発になりつつある。

 そんな中、住宅大手のパナホーム<1924>は「上質なくらし」を求める層にむけて、日本の住まいの美を生かした上質なデザイン・素材や、ワイドな開口のある明るく伸びやかな大空間等、同社の50余年にわたる工業化住宅事業で培った住まいづくりのノウハウと先進技術を盛り込んだカサート『こだわりの邸宅』を今年4月から販売している。また、同月、第1弾拠点として兵庫県の「伊丹・昆陽の里住宅公園」にモデルハウスを開設し、この商品を高品位に具現化するとともに、営業接遇も含め、富裕層に向けた展開を始める。

 衣服でも住宅でも、単純に値段だけではないが、「良いものは良い」というのはどんな商品でも共通している。また、こだわりのある生活は無駄も少なく、結果的に経済的でもある。そういう意味でも、すべてのものにこだわりをもって、上質な暮らしを送りたいものだ。(編集担当:藤原伊織)