1ドル159円台、4年弱でレートは約1.5倍に。家計負担は年10万円弱増の試算も

2026年03月13日 12:31

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円安進行が家計に与える影響。ドル円レートは4年弱で5割上昇、輸出効果は限定的との指摘も

今回のニュースのポイント

・4年弱でドル円レートはおよそ1.5倍の水準に: ドル円は2021年初の約103円から足元で159円前後まで上昇しました。ドルに対する円の名目レートは4年弱でおよそ5割上昇(1.5倍の水準)しており、急激な為替変動が経済各所に影響を与えています。

・実質実効為替レートは過去数十年で最低水準: BIS(国際決済銀行)の統計でも、円の総合的な実力を示す実質実効為替レートは過去数十年の中でも最低水準に近いレベルまで低下しています。

・家計への追加負担、年間約9万円と試算: 民間シンクタンクの試算によれば、1ドル=160円水準の円安が持続した場合、平均的な世帯の年間生活コストは数万円から、世帯構成によっては10万円前後の増加につながると分析されています。

 1ドル=159円台という為替水準は、日本経済に多角的な影響を及ぼしています。2021年初には103円台だったドル円相場は、足元で159円前後まで上昇し、ドルに対する円の名目レートは4年弱でおよそ1.5倍の水準となりました。円の総合的な実力を示す実質実効為替レートも、BIS統計で過去数十年の中でも最低水準に近いレベルまで低下しており、日本の経済構造における課題が改めて議論の的となっています。

 円安の主因は、4〜5%ポイントにまで広がった日米の政策金利差にあります。米経済の底堅さを背景にFRB(米連邦準備制度)が高金利を維持する一方、日銀の利上げは慎重なペースに留まっており、RIETI(経済産業研究所)などの分析でも「金利差による円売り」が相場の要因となっていることが示されています。

 こうした状況下、企業収益の構図には変化が見られます。かつての円安は輸出数量の増加を通じて景気を牽引しましたが、現在は多くの製造業が生産拠点を海外に移転しているため、輸出数量へのプラス効果は以前より限定的です。一方で、2024年には企業の海外子会社からの配当金などの一次所得収支や観光収入が増加し、経常黒字はGDP比4%程度まで拡大しました。現在の円安は、輸出よりも「投資収益」や「インバウンド」を押し上げる構造へと移行しています。

 一方で、家計や輸入依存度の高い企業には負担増の側面が強く表れています。エネルギーの約9割を輸入に頼り、食料の多くを海外調達している日本にとって、159〜160円台の円安は輸入価格を直接的に押し上げる要因となります。みずほリサーチ&テクノロジーズや第一生命経済研究所などの試算では、160円水準が定着した場合、消費者物価の押し上げを通じて平均的な世帯の年間生活コストは数万円から9万円程度増加するとされており、家計への影響が懸念されています。

 159~160円台は当局による為替介入も意識される水準ですが、介入による一時的な抑制だけでは根本的な解決には限界があるとの見方も根強いものです。NRI(野村総合研究所)などの分析では、円安に依存した成長ではなく、賃上げや生産性向上、エネルギー構造の転換を通じた実力の強化こそが、現在の円安局面における日本経済の重要な課題であると指摘されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)