IT専門調査会社 IDC Japanは、国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場の予測を発表した。
2016年の国内エンタープライズITインフラストラクチャの出荷額は、前年比2.3%減の7,921億円と予測。なお、IDCでは、ITインフラストラクチャの構成要素のうち、サーバー、エンタープライズストレージシステム、およびデータセンター向けイーサネットスイッチを包含した市場をエンタープライズITインフラストラクチャ市場と定義している。
2020年の国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場は7,001億円になると予測している。2015年~2020年の年間平均成長率はマイナス2.9%になります。国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場は、国内クラウドITインフラストラクチャ市場と国内トラディショナルITインフラストラクチャ市場に細分化されるという。
国内クラウドITインフラストラクチャ市場では、デジタルトランスフォーメーションや第1、第2のプラットフォームから、第3のプラットフォームへのシフトが進展することから、処理能力に対する需要は弱含むどころか、強まるとみている。国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場全体が縮小する中で、国内クラウドITインフラストラクチャ市場においてはサーバーの支出額もプラス成長するとみている。2016年の市場規模は前年比22.2%増の1,569億円、2015年~2020年の年間平均成長率は7.4%を見込んでいる。
一方で、国内トラディショナルITインフラストラクチャ市場では「価格性能比向上と、処理能力に対する需要の弱含み」の影響が顕著に現れるとみています。同市場では、更新需要が主体となっているため、たとえばサーバーであれば更新時に統合、集約される。搭載するプロセッサーの性能向上や価格性能比の向上が継続しているため、更新のたびに投資額は減少する傾向にある。2016年の国内トラディショナルITインフラストラクチャ市場は前年比6.9%減の6,352億円、2015年~2020年の年間平均成長率はマイナス5.4%を見込んでいる。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ グループマネージャーの福冨里志氏は「2015年の国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場ではクラウドへのシフトが加速した。しかし、同市場における支出額の8割超は、トラディショナルITインフラストラクチャである。国内トラディショナルITインフラストラクチャ市場における優良顧客とは、主に次の2つの条件を満たす顧客である。顧客が事業ドメインで過度の国際競争にさらされていないこと、ITシステムに対する信頼性/高可用性/安全性に対するコスト負担を許容していること、といった条件である。ベンダーは自社の顧客ベースにおいて、これらの条件に合致する顧客と長期的かつ戦略的なエンゲージメント関係を構築し、維持する必要がある」と述べている。(編集担当:慶尾六郎)