15年度の国内のヘアケア市場規模は前年度比0.7%減の4,383億円 植毛市場、発毛・育毛剤市場が好調

2016年08月14日 10:45

 矢野経済研究所では、国内のヘアケア市場の調査を実施した。調査期間は2016 年4月~7月、調査対象はヘアケア市場参入業者、その他関連団体、業界団体等。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2015年度の国内のヘアケア市場規模(毛髪業市場、植毛市場、発毛・育毛剤市場、ヘアケア剤市場の合計)は事業者売上高ベースで、前年度比 99.3%の4,383億円であり、分野別では植毛市場、発毛・育毛剤市場の好調さが目立つ。

 2016年度は前年度比100.7%の4,413億円の微増推移を予測している。国内ヘアケア市場は人口の高齢化の進展に加え、薄毛人口の増加、消費者のアンチエイジングに対する関心の高まりなどを背景に、今後も堅調に推移するものと考えるとしている。

 2015年度の毛髪業市場規模は前年度比100.1%の1,402億円であった。女性用を中心に低価格品を投入し、新規需要の開拓を行う新規参入企業が台頭してきている。また女性は新規にかつらを購入する際には抵抗感があるともいわれており、こうした新規ユーザー層をターゲットにした女性用部分かつら市場も活性化してきている。今後も毛髪業市場は国内の女性用需要を中心に堅調に推移するとみている。

 2015年度の植毛市場規模は前年度比105.1%の41億円であった。植毛市場は大手クリニックの積極的なプロモーション戦略により、新規患者の開拓が行われ成長してきたが、一方で新規クリニックの参入も増加し、競争が激しくなってきている。近年では薄毛に悩む女性や若年層が増加してきているといわれ、こうした顧客層に対する積極的な取り込みも活発化してきているという。

 また日本政府の政策の一環である医療ツーリズムを背景に、海外の富裕層を対象に取り込みを図るクリニックも増加してきているとしている。

 2015年度の発毛・育毛剤市場規模は前年度比102.8%の672億円であった。主に店頭販売される一般流通と医家向け流通市場が拡大したことにより、好調に推移した。一般流通についてはライトユーザー向け育毛剤を強化するメーカーが増加しているとともに、シャンプーやリンスといった関連商品を強化することでブランドの拡大・総合化を図る動きもある。医家向け流通については、同市場が好調であることから、新規参入メーカーが増加し、競争が激しさを増している。また低価格なジェネリック製品も登場してきていることから、今後の市場拡大が期待されるとしている。

 2015年度のヘアケア剤市場規模は前年度比97.8%の2,268億円であった。スカルプケアを訴求する商品が引き続き好調に推移したものの、その他の商品は軒並み低調に推移した。現下、消費者のアンチエイジングに対する関心の高まりを受けて、団塊ジュニア世代以上の女性をターゲットにしたエイジングケア訴求ブランド製品や、スカルプケアや地肌ケアなど頭皮のケアを訴求したブランドが増加してきている。

 また自然派・オーガニックブランドに対する消費者需要および関心が高いことから、主要メーカーでは自然派・オーガニック訴求商品の開発を強化してきており、今後もこうした流れが継続するものとみるとしている。(編集担当:慶尾六郎)