15年度の国内のガーデニング市場規模は前年度比0.8%増の2,250億円

2016年08月11日 11:31

 矢野経済研究所は、国内のガーデニング市場について調査を実施した。調査期間は2016年2月~6月、調査対象は植物取扱企業、ガーデニング資材取扱企業、関連団体等。調査方法は同社専門研究員による直接面接取材及び電話などによるヒアリング、および文献調査を併用した。

 2015年度の国内のガーデニング市場規模は前年度比100.8%の2,250億円であった。このうち植物分野は生産者出荷金額ベースで前年度比101.1.%の937 億円、資材分野はメーカー出荷金額ベースで同100.5%の1,313億円である。2013年度は春先の天候不順で、市場は前年を下回ったが、2014年度、2015年度共に家庭菜園が牽引し、市場は拡大で推移する結果となった。

 主な園芸ユーザー層であるシニア層が高齢化する一方で、中高年層や若年層においても農業に対する関心が高まっており、都市部を中心に引き続き市民農園や貸し農園の開園が増えている。一方、政府では都市部で人気の市民農園を増やすため、都市部の遊休農地を市民農園として貸した場合の相続税の納税猶予を検討しており、また、生産緑地注において、土地所有者が自ら農業をせずに貸し農園として貸す場合も、納税猶予の対象にする方向で制度の整備を進めている。これらが実現すれば、今後都市部の好立地の場所においても、貸し農園が拡大する見通しであるとしている。今後のガーデニング市場は、引き続き家庭菜園が牽引し、2016 年度のガーデニング市場規模は前年度比100.2%の 2,255 億円と堅調な推移を予測している。

 2015年度の国内の家庭菜園向け野菜苗・果樹苗市場規模は生産者出荷金額ベースで前年度比102.6%の157億円であった。団塊世代全てが65歳を超えて、余暇を楽しむリタイア人口が急増しているのに加え、食の安全意識の高まりで、家庭菜園で無農薬などの野菜を自給自足したいと考えるファミリー層、さらにマンションなど集合住宅でもベランダ菜園を楽しむなど、幅広い層で家庭菜園が注目を集めており、ガーデニング未経験者の新規参入も急増している。

 50~60歳代の女性が主力ユーザーのガーデニングとは異なり、家庭菜園は若年層から中高年、性別関係なく、幅広い層が参加しているのが特徴であり、20~30歳代の若年層や、40~60歳代の男性の参加も多い。さらに、今まで園芸に関心がなかった 20歳代の若年層にキッチン菜園を始める人も増えており、キッチンカウンターやテーブルの上など、ちょっとしたスペースで手軽に育てられるため、人気が高まっている。

 また、ベランダ菜園用や室内用の栽培キットなど、初心者にとっても手軽に家庭菜園を始められるような資材も商品化されているほか、高齢者向け施設においても施設内に農業施設を併設する事例が増えており、市場拡大の一役を担っている。今後も、手軽な趣味の家庭菜園は成長が期待できる分野であり、消費者の健康志向・食の安全志向の高まりを背景に市場は拡大し、2016年度の家庭菜園向け野菜苗・果樹苗市場規模は生産者出荷金額ベースで前年度比100.6%の158億円を予測している。(編集担当:慶尾六郎)