4月19日に富士経済が発表したところによると、2011年の住宅設備・建材市場全体は、前年比105.9%の4兆9031億円に拡大。そのうち住宅設備市場は、前年比106.7%の2兆8658億円となり、今年も拡大傾向が続きそうである。これを裏付けるように、4月に入ってからだけでも、エス・バイ・エル、積水化学、パナホーム、三菱地所ホーム、トヨタホーム、住友林業ホームテック などが相次いで新商品を発売している。
この新商品ラッシュを後押ししているのが、4月19日から一般申請受付が開始された経済産業省による「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(HEMS導入事業)」である。4月10日現在、補助対象機器に採択されているのは6事業者11製品。住宅にこれらの採択機器を導入する際、10万円を限度として補助金が交付されるのである。一口にHEMSといっても種類や性能は千差万別、見える化機能等の補助対象基準に加えて、各社が独自色を出すべく様々な志向を凝らしている。
補助金対象機器にも採択されており、4月に入ってからスマートハウスの新製品を発表しているトヨタホームのHEMSは、エネルギー使用量の目標を設定することが可能。さらに、省エネに役立つアドバイスを表示してくれるアドバイス機能が搭載されている。また、チェック機能では5wというわずかな消費電力(LED照明が7W程度)まで表示されるため、小さな消し忘れ等も逃さずチェックでき、これを習慣化することで更なる省エネ効果が期待できるとしている。
積水化学が提供するスマートハイムに搭載されているのは、NEC製のHEMS。主な特徴として、無線通信で面倒な配線が不要、既設住宅にも設置可能であることや、電気「料金」のリアルタイム表示で節約意識の向上が図れること、専用モニターが不要で初期費用が削減できることなどが挙げられている。
また、太陽電池・燃料電池・蓄電池の3電池を連動制御する為にHEMSを独自開発したのが積水ハウスである。他社製品のHEMSは見える化を主体に、そこから派生した機能で独自性をアピールしているのに対し、このHEMSの特徴は、3電池を連動制御させ適切な電力管理・供給を行える点にある。通常時は太陽電池で発電した余剰電力を売電し、停電時は蓄電池に貯めるように自動制御。蓄電池の電池残量を常に1/2以下にならないよう制御できる、などである。
前述富士経済の発表によると、創エネ/スマートハウス関連分野が市場全体を増加に導いており、この分野は15年には11年比2.5倍の8429億円に拡大すると予測されている。一方、現在議論されている14から15年の消費税率引き上げをにらんで、今年、来年ぐらいが需要拡大のピークとなるのかもしれないという懸念もある。好調な市場、普及すべき技術などに関しては、何か特別な措置が取られることを期待したい。