【電機業界の2017年4~6月期決算】「為替の影響がなければ……」と言える企業も、言えない企業もある

2016年08月18日 08:22

 東芝<6502>は4~9月期(第2四半期)の業績見通しは営業赤字を営業黒字に上方修正しているが通期では修正していない。売上高は10.0%減、営業損益は1200億円の黒字に転換、継続事業税引前当期純利益は850億円の黒字に転換、当期純利益は1000億円の黒字に転換を見込む。予想年間配当は未定のまま。想定為替レートはドル円110円を8月以降は100円に改めた。下半期は円高の影響が300億円の利益圧迫要因になるが、白物家電事業を中国の美的集団(ミデア)に譲渡して切り離し、1万4000人の人員削減を実施した構造改革の効果が利益を押し上げると見込んでいる。

 三菱電機<6503>は通期業績見通しでは減収、2ケタ減益の見通しだが、売上高を1000億円減らして2.6%減から4.9%減に、営業利益を250億円減らして13.7%減から22.0%減に、税引前当期純利益を250億円減らして12.1%減から19.9%減に、最終当期純利益を250億円減らして12.5%減から23.4%減に、それぞれ下方修正した。予想年間配当は未定のまま。通期の想定為替レートはドル円105円、ユーロ円120円で据え置き。

 業績下方修正の理由は為替の円高と言っても米ドルだけでなく人民元、韓国ウォン、タイバーツなどの新興国通貨安と、部門利益を220億円下方修正した産業メカトロニクス部門、重電システム部門の減収。三菱自動車の燃費データ不正問題の自動車機器部門への影響も織り込んだ。もっとも、FAは中国でスマホ製造向けの投資が回復をみせ、欧米ではエアコンなど家電が伸びており、決して販売不振ではない。松山彰宏・専務執行役は「為替を除けば業績は想定以上」と話している。

 今期から国際会計基準(IFRS)の任意適用を受けるNEC<6701>は、売上収益が2兆8800億円で前期比2.0%増、営業利益が1000億円で9.4%増、最終当期利益が500億円で34.1%減を見込む通期見通しに修正なし。前期と同じ6円の予想年間配当も変わらない。通期の想定為替レートはドル円105円、ユーロ円115円。最終減益の要因は前期に計上した税負担の軽減分がなくなる反動。7月にレノボNECHDの株式の一部を中国レノボグループに譲渡した株式売却益約200億円を営業外収益に計上する予定で、秋に192億円で日本航空電子工業<6807>に対するTOB(公開買付け)を行って連結子会社とする予定だが、現時点ではそれらの影響を通期予想に織り込んでいない。

 富士通<6702>は売上収益2.9%減、営業利益0.5%減、最終当期利益2.0%減の連続減収減益を見込む通期見通しに修正なし。前期と同じ8円の予想年間配当も変わらない。7月以降の想定為替レートはドル円110円、ユーロ円125円で、第1四半期実績よりもドル円は2円、ユーロ円は3円、それぞれ円安になると想定している。顧客企業が新たなビジネスのためにIT投資を増やしているのでシステム開発の部門は堅調だという。(編集担当:寺尾淳)