富士通、半導体事業の再編と経営効率改善策を発表

2013年02月08日 10:30

 日本の製造業が相次いでその苦しい状況を呈する中、今度は富士通<6702>が事業の再編と新たな経営効率改善策を発表した。

 平成21年度より独自のファブライト事業モデルを追求した半導体事業を推進してきた富士通と富士通セミコンダクター。しかし平成23年度以降、市況の急激な悪化や競争環境の変化により極めて厳しい環境に直面しており、富士通セミコンダクターの岩手工場・LSI後工程事業の譲渡など、ファブライト戦略を進めていた。それと同時に、他社との協議も含めて様々な検討を進めていた同社は、システムLSI事業でのファブレス新会社設立、富士通セミコンダクターとパナソニック<6752>のシステムLSI事業の統合、新ファウンドリ企業への三重工場の移管という方針を決定した。今後、富士通のシステムLSI事業は、統合により事業規模を拡大して独立した企業として運営されることになる。また、再編に伴う固定資産の減損を行った後、基盤系工場などを会津若松地区へ集約し、コンパクトな事業体へ転換して経営の安定化を図るとのこと。

 そして同日、徹底した経営効率改善を進める方針を決定。組織のスリム化と共にその目玉となるのが、人事施策である。5000名程度を対象に転進支援施策と外部リソースを削減。さらに半導体事業再編に伴い4500名程度を転籍させるという。

今回富士通が発表した9500人というのは、転籍も含むとはいえ、非常に大型の人員整理と言えるであろう。ローソン<2651>のように若年層の賃金アップを図る企業が存在する一方で、今年に入ってからだけでも電通<4324>にタカラトミー<7867>、ルネサスエレクトロニクス<6723>など、多くの大手企業が大型の早期退職制度を実施しており、合計すると莫大な人間が職を追われている。日本の製造業が崩壊するのが先か、景気刺激策が功を奏し状況が好転するのが先か。2013年は、今後の日本の行く末を左右する重要な一年となるのかもしれない。(編集担当:井畑学)