東京商工リサーチによると、 2016年8月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が726件、負債総額は1,260億4,900万円だった。
倒産件数は、前年同月比14.8%増(94件増)で、6カ月ぶりに前年同月を上回った。ただし、8月としては1997年以降の過去20年間で、前年同月(632件)に次いで2番目に少ない件数にとどまり、依然として低水準な基調に変化はない。金融機関が中小企業のリスケ要請等に柔軟に応じていることに加えて、大手企業を中心とした業績拡大も影響しているとみられるとしている。
負債総額は、前年同月比28.7%増(281億5,300万円増)で2カ月連続で前年同月を上回った。負債額別では、負債10億円以上の大型倒産が7月と並び今年最少の15件にとどまったのに対して、負債1億円未満は541件(前年同月比20.2%増、構成比74.5%)と全体の7割を占めるなど依然として小規模な倒産が目立った。
産業別倒産件数は、10産業のうち7産業で前年同月を上回った。小売業は95件(前年同月比10.4%増)で3カ月連続で前年同月を上回った。内訳では、婦人・子供服小売業(6→13件)や書籍・文房具小売業(2→4件)などで増加した。
また、不動産業が23件(前年同月比21.0%増)で3カ月連続、卸売業が128件(同52.3%増)で7カ月ぶり、製造業が105件(同8.2%増)で6カ月ぶり、建設業は145件(同15.0%増)で3カ月ぶりに前年同月を上回った。飲食業や広告業などを含むサービス業他は179件(同14.0%増)で、2カ月ぶりに増加に転じた。金融・保険業は3件(前年同月2件)だった。一方、情報通信業は29件(前年同月比6.4%減)で3カ月連続で前年同月を下回り、 農・林・漁・鉱業が5件(同44.4%減)で4カ月ぶり、運輸業が14件(同33.3%減)で3カ月ぶりに減少した。
地区別件数は、9地区のうち7地区で前年同月を上回った。中国23件(前年同月比15.0%増)で4カ月連続の増加。中部が93件(同16.2%増)で3カ月連続の増加、東北は25件(同19.0%増)で2カ月連続で前年同月を上回った。また、近畿176件(同2.3%増)と関東304件(同32.1%増)が6カ月ぶりに前年同月を上回り、四国が17件(同41.6%増)で4カ月ぶり、北陸は19件(同90.0%増)で2カ月ぶりに前年同月を上回った。(編集担当:慶尾六郎)