IT専門調査会社 IDC Japanは、国内モバイルデバイス市場(スマートフォン市場、タブレット市場、PC市場、データ通信カードなどのData Communicationを含む)の2016年第2四半期(4月~6月)の出荷台数実績および2016年~2020年の予測を発表した。
2016年第2四半期の国内モバイルデバイス出荷台数は、前年同期比0.1%減の1,064万台となった。スマートフォン市場は、アップルのiPhoneの出荷が底支えし、前年同期比1.2%のプラス成長となった。タブレットはファーウェイなどの通信事業者向け出荷が増加したことで、前年同期比5.8%のプラス成長となった。PCは、当初2016年10月末に予定されていたビジネス市場向けWindows 7搭載PCの最終出荷に向け、大きく出荷を伸ばしたが、家庭市場向けが2桁のマイナス成長となり、1.2%のマイナス成長となった。国内モバイルデバイス市場全体では前年並みだったが、ビジネス市場向けはPCの出荷が進み、前年同期比4.1%のプラス成長となり、市場を底支えした。
2016年の国内モバイルデバイス市場は、前年比4.6%減の4,571万台と予測している。2016年のPC市場は、Windows 7搭載PCの最終出荷期限が延期となったことから、企業の需要が高まらず在庫調整に時間がかかると見込まれ、昨年をやや下回る出荷が予測される。一方、家庭市場でPCの購買を促進する要素は少なく、2016年のPC市場はマイナス成長になると予測している。タブレット市場は、市場を支えてきたB2B2C案件が今後減少することが予測されるという。
また、家庭市場ではWi-Fiモデルを中心にキラーアプリケーション不在の状況が続き、大型スマートフォンとの競合によってタブレット市場全体としては、2016年通年で前年比マイナス成長になると予測している。スマートフォン市場は、企業向け携帯電話のスマートフォンへの切替えが進むことで、ビジネス市場向けではプラス成長が予測される。しかし、通信事業者によるキャンペーンが抑制されることによって、家庭市場向けがマイナス成長となり、スマートフォン市場全体としてはマイナス成長を予測している。これらから、2016年の国内モバイルデバイス市場の家庭市場向け出荷は前年比5.6%減の3,543万台、ビジネス市場向け出荷は1.0%減の1,028万台と予測している。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は「国内モバイルデバイス ビジネス市場の中心はPCである。PCビジネス市場は、Windows 7搭載モデルの最終出荷期限が延期になり、第2四半期から第3四半期中頃に出荷されたPCの在庫調整によって出荷は停滞することが予測される。タブレット市場やスマートフォン市場は、家庭市場向けが中心であるが、各機器の需要の一巡や買替えを行う理由が見出しにくい状態が続くことが予測され、家庭市場の失速によって2016年はマイナス成長となると予測される」と述べている。(編集担当:慶尾六郎)