IT専門調査会社 IDC Japanは、国内モバイルデバイス市場(スマートフォン市場、タブレット市場、PC市場、通信データカードなどのData Communicationを含む)の2015年の出荷台数実績および2016年~2020年の予測を発表した。
それによると、2015年の国内モバイルデバイス出荷台数は、前年比8.1%減の4,792万台だった。スマートフォン市場は、従来型携帯電話から移行が進み前年比3.6%増のプラス成長となった。タブレット市場は通信事業者向けの出荷やB2B2Cなどの案件によって、前年比1.5%増にとどまった。また、PC市場は2014年のWindows XPサポート終了に伴う特需の反動の継続および円安に伴う平均価格上昇の影響により買い替えサイクルが長期化し、前年比31.4%減の大幅なマイナス成長となった。このPC出荷台数の大幅な減少によって、国内モバイルデバイス市場は前年比8.1%減のマイナス成長となった。
2016年の国内モバイルデバイス市場は、前年比8.2%減の4,401万台と予測している。スマートフォン市場は、2015年までは従来型携帯電話からの買い替えや、通信事業者によるキャンペーンによって前年比プラス成長を遂げてきた。しかし2016年は、総務省要請によるスマートフォンの実質0円販売の廃止により、出荷が減速する可能性が高くなると考えられるという。これにより、2016年スマートフォン市場は前年比4.7%減の2,620万台と予測している。
タブレット市場は、学校関連を中心にビジネス市場での導入が進むことが予測されるという。しかし、家庭市場ではキラーアプリケーション不在の状況が続き、大型スマートフォンとの競合もあって市場全体として2016年は前年比17.3%減の687万台と予測している。
PC市場は、PC買い替えサイクルが長期化する可能性が高く、特に家庭市場では、2015年同様にPC購買を促進する要素が少ない状態が続くと予想している。また、過剰な流通在庫が短期的に解消せず、ベンダーの生産/出荷調整が続くと考えられるとしている。これらにより、2016年のPC市場は前年比8.5%減の965万台と1,000万台を切る出荷台数を予測している。一方、タブレット市場においては、キーボード脱着が可能で、ポータブルPCに使い勝手が近いデタッチャブルタブレットが、PCベンダーを中心に出荷されている。このデタッチャブルタブレットは、2016年以降もWindowsに加え、iPad ProやAndroidベースの製品が増加することが予測されるという。2015年のPCとデタッチャブルタブレットを合算した出荷台数は約1,180万台でしたが、2016年は約1,130万台と、PCの出荷減少はデタッチャブルタブレットによって補足されることが予測されるとしている。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏「は「2015年の国内モバイルデバイス市場は、PC買い替えサイクルの長期化が大きく影響し、マイナス成長となった。2016年は、これに加えスマートフォンやタブレットの買い替えサイクルの長期化によって市場はマイナス成長が続くとみている。しかし、2018年以降は従来型携帯電話のチップ生産終了に伴うスマートフォンへの移行や、特定用途向けタブレット、2020年のWindows 7サポート終了に向けたPC買い替え需要によって市場は拡大していくと予測している」と述べている。(編集担当:慶尾六郎)