馴染みの方言で話しかける自販機とは

2012年04月16日 11:00

 手軽に飲料水を手に入れるツールとして、自販機は欠かせない存在であり、各飲料メーカーは様々なタイプの自販機を開発、設置している。例えばキリンビバレッジは、2008年7月から募集型自動販売機「サッカー日本代表・応援自動販売機」を全国で展開、その売上金の一部を財団法人日本サッカー協会に寄付している。また、コカコーラーは、搭載したソーラーパネルによる蓄電で、夜間照明の消費電力量ゼロを実現した「ecoる/ソーラー」自動販売機を設置している。

 自販機を販売チャンネルの主としているダイドードリンコは、震災時に活躍した災害救援型の自販機や、募金型自販機、またはポイントカード対応型など様々なタイプの自販機を設置。その種類、内容ともに面白いものが多い。なかでもおしゃべり自販機は、身近な存在でありながら、一方で非常に受身な自販機が消費者をナビゲートする”能動的なセールスマン”として進化させた、コミュニケーションをする自販機として人気を得ており、現在は、エリア限定の方言対応バージョンも展開している。

 今回、その「おしゃべり自販機」から”盛岡弁”、”仙台弁”、”ふくしま弁”、それぞれに対応した「おしゃべり自販機」の新ラインアップを、岩手県、宮城県、福島県で順次導入するという。

 新ラインアップでは、地域との密着度をより強く訴求すべく、地元放送局の協力のもと、ナレーター選定や音声データを制作。”盛岡弁”は、地元岩手県出身で、テレビ岩手アカデミー講師などを務める大槻由生子さん、”仙台弁”は、地元宮城県のTVやラジオを中心に活躍し、東日本放送の地元密着情報番組にも出演する岩手佳代子さん、”ふくしま弁”は、テレビユー福島の協力の下、地元福島県出身で、奥会津の語り部所属の五十嵐七重さんが担当。また、それぞれの方言に対応するおしゃべり自販機には、その土地の名産品や建造物など、地元へ根付いたものを中心にデザインした強調ステッカーを貼付し、見た目にもわかりやすく訴求している。「ナレーターの収録に立ち会った際、初めてご当地”グルメ”を口にしましたが、方言同様、地元に根付いた食文化は永遠に引き継がれるものだと感じました。加えて、当社のブレンドコーヒーも”変わらないおいしさ”を守り続けているからこそ、ロングセラーなんだとも痛感しましたね」とダイドードリンコの担当者。

 方言は、その地域の文化、歴史、生活そのものであり、聞き慣れた方言には、懐かしさや安堵感を感じる人も多い。「東北地区では”津軽弁”に対応したおしゃべり自販機を展開してきましたが今回、3つの方言に対応した新ラインアップを導入することで、東北地方の人々に、ほっとして、元気になっていただければと思っております。」と担当者。今後も同社は、地元に根付いたコミュニケーションを目指し、様々な展開を試みていきたいと考えているという。