9月の「チャイナリスク」関連倒産は前年同月比42.8%減の8件 4カ月連続で前年同月を下回る

2016年10月14日 08:57

 東京商工リサーチによると、9月の「チャイナリスク」関連倒産は8件(前年同月比42.8%減)で、4カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は23億8,800万円(同98.0%減)と大幅に減少した。これは前年に第一中央汽船(株)(TSR企業コード:291084648、東京都、東証1部)が負債1,196億700万円を抱え東京地裁へ民事再生法の適用を申請した反動だとしている。

 2016年1-9月累計は81件で前年同期の72件(12.5%増)を上回っている。要因別では、「コスト高」が51件(前年同期38件)と大半を占めたが、「中国景気減速」も6件(同3件)と中国の景気減速の影響による倒産も2倍となっている。なお、倒産に集計されないものの事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、9月は発生がなかった(前年同月ゼロ)。

 1-9月の「チャイナリスク」関連倒産は81件となった。倒産企業の特徴は、業種別では「繊維・衣服等卸売業」や「繊維工業」、「なめし革・同製品・毛皮製造業」、「織物・衣服・身の回り品小売業」など、アパレル関連が40件(構成比49.3%)を占めた。こうしたアパレル関連の企業は、中国国内の人件費高騰などを中心に製造・仕入コスト上昇など「コスト高」を要因とするケースが多いとしている。

 9月のチャイナリスク関連倒産は8件だった。音響機器製造の佐野製作所(TSR企業コード:350053081、神奈川県、労使問題)は、中国に生産拠点を設立して業容拡大を図ったが、他社競合から資金繰りが厳しく給料が遅配。2014年に中国工場で労働争議が発生し、工場の操業停止に追い込まれた。その後も再建見通しが立たず横浜地裁に破産を申請、9月29日に同地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は5億4,800万円だった。

 また、自動車部品、携帯電話アクセサリー販売を手掛けていたスプラッシュ(TSR企業コード:310918464、埼玉県、売掛金等回収難)は、2015年春頃から中国企業に対して売掛金の回収遅延が発生し、資金繰りが悪化。経営者の死去も重なり、8月30日にさいたま地裁川越支部から破産開始決定を受けた。負債総額は6億8,000万円だった。

 ここにきてチャイナリスクに起因した倒産要因は多様化している。同社では、倒産は沈静化しているものの、引き続きリスクを見極めながらの事業展開や取引条件の判断が必要だろうとしている。(編集担当:慶尾六郎)