11月9日(日本時間)に行われたアメリカ合衆国大統領選挙でのドナルド・トランプ候補勝利から、1カ月余りが経過した。同氏の「アメリカ第一主義」に基づく、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)離脱表明をはじめ保護貿易主義的な政策は、周辺各国との貿易・外交の軋轢が懸念されている。完成車、電機メーカーをはじめとする日本企業の中には、北米市場を重要視している企業も多く、米国に進出している企業の多くがトランプ次期政権による通商政策の影響を受ける可能性が十分にある。
そこで、帝国データバンクでは、2016年11月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約146万社)と信用調査報告書ファイル「CCR」(約170万社)、および公開情報を基に、米国に進出していることが判明した日本企業を抽出し、業種別、都道府県別、年商規模別、進出州別に集計・分析を行った。
米国に進出している日本企業は、2016年11月末時点で6,814社あることが判明した。業種別に見ると、最も多かったのは「製造業」の2,649社(構成比38.9%)。以下、「卸売業」の1,618社(同23.7%)、「サービス業」の1,317社(同19.3%)と続き、上位3業種で5,584社となり、全体の81.9%を占めた。業種細分類別に見ると、「受託開発ソフトウェア業」が229社(同3.4%)でトップ。このほか、上位20業種には「パッケージソフトウェア業」(122社、同 1.8%)や「情報提供サービス業」(44社、同0.6%)など IT 関連産業が占めた。
このほか、「自動車部分品・付属品製造業」(122 社、同 1.8%)や「自動車駆動・操縦・制動装置製造業」(63社、同0.9%)、「自動車用内燃機関製造業」(42 社、同0.6%)など、自動車関連産業の進出が目立った。現地に生産拠点を持つ完成車メーカーに帯同して、自動車部品のサプライヤーが多く進出していることが背景として考えられる。また、米国が巨大製薬市場を形成していることを背景に、「医薬品製剤製造業」(54社、同0.8%)も多く見られた。
売上高規模を業種別に見ると、「10億円未満」では「サービス業」(構成比 33.3%)がトップ。小規模なソフトウェア業やコンサルタント業などが多数を占めた。一方、「10~100億円未満」「100~1000億円未満」「1000億円以上」では全て「製造業」がトップとなった。
進出企業の本社所在地を都道府県別に見ると、「東京都」が3,179社(構成比 46.7%)でトップ。2位は「大阪府」(659社、同9.7%)、3位は「愛知県」(500 社、同7.3%)となり、上位3都府県で全体の63.7%を占め、大都市圏に進出企業が集中している。なかでも「愛知県」は、大手完成車メーカーであるトヨタ自動車や自動車部品メーカーの進出により、全国的にも米国への進出が盛んな都道府県の一つとなっている。
米国への進出地域が判明した3,779社を進出州別に見ると、サンフランシスコ市やロサンゼルス市などの「カリフォルニア州」が1,517社(構成比40.1%)で最多となった。次いで「ニューヨーク州」の626社(同16.6%)となり、上位2州の構成比で過半数を占める。このほか、シカゴなど「イリノイ州」(345社、同9.1%)や、観光地として有名な「ハワイ州」、フォードやクライスラーなど米国大手完成車メーカーが本社を構える「ミシガン州」なども上位となった。(編集担当:慶尾六郎)