2015年 12月31日、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する 10カ国が、域内貿易自由化や市場統合を目指し、広域経済共同体「ASEAN 経済共同体(AEC)」を発足させて5カ月が経過した。インドネシアやタイなど、東南アジア地域の主要国が参加し、域内総人口約6億人、名目GDPは約2兆ドル、域内総貿易額は2.1兆ドルにものぼる巨大な経済圏を抱える一大諸国連合の ASEANは、低廉な人件費や巨大市場の魅力から近年日本企業の進出が盛んな地域でもある。中国経済減速の影響などもあり、中国一辺倒の海外進出から「チャイナ・プラス・ワン」への動きがあるなか、海外進出を考える日本企業にとってその存在感は高まっている。
そこで、帝国データバンクでは、2016年4月末時点の企業概要データベース「COSMOS2(約146万社)」および信用調査報告書ファイル「CCR(約170万社)」などをもとに、現地企業への出資、現地法人および関係会社・関連会社の設立・出資、駐在所の設置などを通じて、ASEANに進出していることが判明した日本企業を抽出し、進出国別、業種別、本社所在地の都道府県別、規模別、メーンバンク別に集計・分析を行った。なお、ASEAN 全域を対象とした調査は今回が初めてだという。
それによると、ASEANに進出している日本企業は1万1,328 社判明した。進出国別では、「タイ」の4,788 社(構成比 30.4%)がトップとなり、以下「シンガポール」(2,821社、同17.9%)、「ベトナム」(2,527 社、同16.0%)と続いた。
業種別に見ると、「製造業」が、4,925社(構成比43.5%)となり最多だった。2位は「卸売業」の2,825社(同24.9%)となり、両業種で全体の約7割を占めた。
都道府県別に見ると、「東京都」が 3,908社でトップだった。以下「大阪府」、「愛知県」が続いた。
規模別に見ると、売上高「100億円以上」の企業は2,890社(構成比25.6%)で最多だった。売上高「1億円未満」の小規模企業でも全体で601社(同5.4%)がASEANへ進出しており、なかでもサービス業では同項目で13.5%(229社)を占めた。
メーンバンク別に見ると、トップはメガバンクを含む「都市銀行」(構成比60.2%)となった。(編集担当:慶尾六郎)