イギリスのEU離脱の影響いかに? 約1割の企業がイギリスまたはEU加盟国と関わりを持つ

2016年09月17日 12:25

 2016年6月24日、イギリスは国民投票で欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)を選択した。Brexitの影響は、イギリスやEU域内に進出している企業にとどまらないとみられている。また、現在交渉が進む「日EU経済連携協定」についても、EUの混乱にともなう合意の遅れは避けられず、対EU貿易やEU市場参入などにおいて、広く日本企業へ影響が出ることが懸念される。そこで、帝国データバンクは、イギリスのEU離脱に関する企業への影響について調査を実施した。

 まず、現在、自社がイギリスまたは欧州連合(EU)加盟国に進出しているか尋ねたところ、生産拠点や販売拠点など直接的な進出を行っている企業は1.9%、業務提携や輸出など間接的な進出は7.5%となった。直接・間接のいずれかの形で海外進出をしている企業は9.2%となり、約1割の企業がイギリスまたはEU加盟国と関わりを持って事業を行っていることが明らかとなった。他方、「進出していない」は 87.9%だった。

 「直接進出あり」と回答した企業の海外事業内容をみると、支社・支店などを含む「販売拠点」が1.0%で最も多く、「生産拠点」は0.5%だった。また、「現地法人の設立」は0.7%、「資本提携」は0.3%となった。他方、「間接進出あり」では、商社や取引先などを経由した「間接輸出」、商社等を経由せず直接海外と取引している「直接輸入」、「間接輸入」、「直接輸出」、技術提携などの「業務提携」、生産委託などの「業務委託」の順で高かった。

 規模別にみると、進出企業は規模が大きくなるほど多く、「イギリスまたは EU加盟国への進出あり」は「大企業」(13.0%)、「中小企業」(8.2%)、「小規模企業」(5.5%)と続き、「大企業」は「小規模企業」を 7.5 ポイント上回る。特に、直接進出では「大企業」の 4.5%に対して「小規模企業」は 0.8%となり、間接進出と比較して企業規模間でイギリスや EU 加盟国への進出状況の違いが大きく表れている(「大企業」と「小規模企業」の進出倍率は直接進出 5.63 倍、間接進出 2.02倍)。

 業界別では、イギリスまたはEU加盟国に進出している企業は『製造』(14.4%)と『卸売』(11.3%)が1割を超えている。他方、直接的な進出に絞ると、『金融』が3.3%で最も高く、次いで『製造』(2.9%)、『運輸・倉庫』(2.8%)、『卸売』(1.8%)が続いた。

 イギリスまたはEU加盟国に進出している企業に対して、現在、どこの国・地域に進出しているか尋ねたところ、「ドイツ」が35.9%でトップとなった。次いで、「イギリス」が31.5%となり、「ドイツ」とともに3割超の企業が進出していた。以下、「フランス」(23.3%)、「イタリア」(21.4%)が2割を超えたほか、「スペイン」「オランダ」(ともに11.9%)、「ベルギー」(9.0%)、「その他のEU加盟国」(7.9%)、「スウェーデン」(7.5%)、「オーストリア」(5.2%)が上位10カ国・地域となった。

 他方、現在イギリスに直接進出している企業をみると、「EU 域内(具体的な移転先は未定)」が7.7%で最も高く、次いで、「ドイツ」「フランス」「アジア地域」「北米・中南米地域」が 3.8%で続いた。イギリスに直接進出している企業で「移転は検討してない/予定はない」は5.1%にとどまっている。(編集担当:慶尾六郎)