シミ・シワの次はまつげ、活況のエイジングケア市場

2012年04月02日 11:00

 いつまでも美しく、若々しくありたい。そんな女性の本能に訴えかける商品が巷には氾濫している。”あの手”でシミを減らし、”この手”でシワを伸ばしてみたかと思いきや、なお飽き足らず、まつげにハリツヤを与えるものまで幅広い。そんな活況の果てなき”エイジングケア”市場が今、注目を集めている。総合マーケティングビジネスの富士経済によると、スキンケア化粧品市場全体は縮小しているが、エイジングケアは景気後退の影響を受けつつも拡大が続いている。2010年は前年比0.6%増の4,090億円が見込まれ、2011年も同0.6%増の4,115億円が予測されている。

 まずは先述した、まつげにハリツヤを与えているのが、ロート製薬が発売した「エピステーム アイラッシュエッセンス」だ。同社の先進的技術を応用したスキンケアブランド『エピステーム』の新商品で、まつげの毛周期、まつげの抗糖化に着目したエイジング世代向けのまつげ美容液とのこと。機能性保湿成分「リッチグロウR」を配合し、加齢によって細く&ボリュームダウンしたまつげの根元から力を与え、すこやかで、ハリツヤのあるまつげへと促してくれる。デリケートな目元に使う商品だからこそ、製剤の安全性など、アイケアメーカーとしての技術が生きているようだ。資生堂が提案する、現代女性に多い「ライフスタイル敏感肌」のためのブランド『dプログラム』では、エイジング・ケアプログラム機能を強化したラインナップをリニューアルさせた。40代以降の年齢と共に乾燥が深刻となり、肌がデリケートになったと感じる「年齢敏感肌」に対応。肌のバリア機能を保つために必要な酵素が加齢によって減少するという新知見に基づいたシリーズで、乾燥ダメージを感じやすくなった大人のデリケート肌をふっくらハリのある美肌へと導いてくれるという。

 また、40代をメインターゲットとするコーセーの『グランデーヌ ルクサージュ』の新商品「アスタマックス エッセンス」は、天然色素成分”アスタキサンチン”を生体類似成分”リン脂質”で微細カプセル化して配合したクリーム状美容液。”アスタキサンチン”とは、甲殻類や鮭、紅藻など、主に海洋性生物が紫外線の影響から身を守るために備えている天然の赤い色素成分のことで、ニンジンの色素などと同じカロテノイドの一種。抗酸化力に優れ、健康食品等でも活用されているが、紫外線によって酸化しやすいデリケートな成分であるため、化粧品に配合することは難しいとされてきた。しかしコーセーでは20年以上前からこの”アスタキサンチン”の効果に着目し、1999年には、業界でいち早く製品化に成功。満を持してエイジングケア美容液として発売したものだという。

 いずれの商品もメインターゲットは女性であり、現時点では、エイジングケア市場そのもののターゲットは間違いなく30代から50代の女性である。しかし、お隣の美容大国こと韓国では、中高年男性が化粧品やファッション、美容整形消費の主力になりつつあること、化粧品市場がその対象を徐々にメンズへと拡大していることを考慮すれば、国内のエイジングケアもいずれは男性へとシフトすることも非現実な話ではない。例えばニベア花王の「ニベアフォーメン リバイタライジングシリーズ」や大塚製薬の「UL・OS(ウル・オス)」、さらにマンダムの「ルシード」などはミドル世代向けの男性エイジングケアシリーズを発売し、人気を得ている。さすがに数ヶ月後とは言うまいが、数年後には日本でも、初老男性たちがコスメショップやエステハウスで「このシワ、どうにかならないものかな…」と店員相手に呟く光景を目にすることがありそうだ。