【今週の振り返り】春の2万ドル突破まつり実施中で329円上昇の週

2017年01月28日 20:11

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日米とも「業績相場」になるはずが、毎日、小出しにされる大統領令で「トランプ・コンシャス」な状況継続。それでも「トランプ慣れ」かダウは2万ドル

 トランプ新大統領がフォードやロッキード・マーチンのCEOと会談し、席上「日本の自動車貿易は不公平だ」と指摘した。そのあおりでトヨタ<7203>は1.66%下落、日産<7201>は1.15%下落、ホンダ<7267>は1.66%下落、富士重工<7270>は1.49%下落と軒並み大幅安。30年前と比べれば日本車メーカーのアメリカ国内での現地生産は格段に進んでいるのだが、金髪の大将の頭の中はいまだに「スーパー301条」「東芝のラジカセ打ち壊しパフォーマンス」の80年代。今、東芝は別のもののせいで打ち壊されかけているが……。

 中国製スマホと自動車の需要拡大、為替の円安が貢献し10~12月の電子部品の受注高は5四半期ぶりに増加に転じた。大引け後に4~12月期決算を発表し通期業績を上方修正した日本電産<6594>は年初来高値を更新し0.46%上昇、アルプス電気<6770>は2.00%、TDK<6762>は0.39%、日東電工<6988>は1.14%それぞれ上昇したが、村田製作所<6981>は0.13%下落、京セラ<6971>は0.11%下落し、終盤マイナスに落ちてしまった。国産旅客機「MRJ」の納入時期が2020年まで5度目の延期の三菱重工<7011>は1.64%下落。27日に日経平均採用225種に仲間入りする大塚HDは、受渡日の関係で事実上の採用初日になり1.76%高。

 日経平均終値は103.04円安の18787.99円、TOPIX終値は-8.30の1506.33。売買高は18億株、売買代金は2兆2757億円。値上がり銘柄数は802、値下がり銘柄数は1084。プラスは海運、卸売、鉄鋼、情報・通信、食料品の5業種。倉庫1業種がプラスマイナスゼロ。マイナスは27業種で、下位は銀行、電気・ガス、保険、鉱業、証券、その他金融など。上海総合指数は0.18%高だった。

 25日の日経平均は3営業日ぶりの大幅反発。英国の最高裁判所が、欧州委員会への通告などEU離脱に伴う手続には議会の承認が必要だという判断を示し、必要はないとしていたメイ内閣は敗訴。ロンドンFTSE100指数は直後は急騰したが終値小幅安。ドイツ、フランスは上昇した。NYダウは右肩上がりで一時19950ドルに迫り112ドル高と3ケタの大幅反発。NASDAQもS&P500も反発した。原油先物価格は終値53ドル台で4営業日続伸。金先物価格は3営業日ぶりの下落。

 リスクオンをもたらした主役は経済指標で、1月の製造業PMI速報値は55.1に上昇して市場予測を上回り、中古住宅販売件数は12月こそ-2.8%で市場予測を下回ったが、2016年通年では545万戸で2006年以来の高水準。2017年は金利上昇とともに在庫の払底が懸念される。10~12月期の企業決算でも住宅大手のD.R.ホートンは増収増益でEPSは市場予測を上回った。ジョンソン&ジョンソンの決算は増収増益でEPSは市場予測より上だが、2017年の通期見通しは市場予測より下。ヤフーが中核事業の売却を延期した相手のベライゾンは減収減益でEPSも市場予測を下回っていた。

 トランプ大統領は自動車「ビッグ3」トップと会談しアメリカ国内の増産と雇用拡大を求めた。石油・天然ガスのパイプライン計画の大統領令に署名し「アメリカ産の鋼材を使え」と注文をつけた。トヨタは、ペンス副大統領が昨年まで州知事を務めたインディアナ州の工場で6億ドルを追加投資して雇用を約400人増やすと表明。「America First」へと草木もなびく。アメリカ長期金利は上昇し、朝方の為替レートはドル円が113円台後半、ユーロ円が122円台前半へ円安進行。大阪夜間取引終値は19060円。CME終値は19035円。

 日経平均始値は303円高の19091円。高値は9時9分の19133円。安値は1時3分の18987円。終値は269円高の19057円。取引開始前に発表された12月の貿易統計は、貿易黒字が6414億円で市場予測の2倍以上で4ヵ月連続の黒字。2016年通年の貿易収支は4兆741億円の黒字で6年ぶりの黒字だった。トランプ新大統領に突っ込まれそうな対米黒字額は減少。発表直後、為替のドル円は114円にタッチした。日経平均先物日中取引は19000円台に乗せて始まり、現物の始値も303円の大幅高。TOPIXは+20ポイントを超える。日経平均はすぐに19100円台に乗せ、さらに上昇。しかし為替のドル円が113円台前半まで円高方向に振れたため、19100円台は1時間も続かない。前場は19000円の大台は保っていたが、前引けでは6円割り込んだ。それでも200円以上のプラスで、当然、日銀のETF買いの可能性は消えた。

 後場は19000円台を回復して再開するが、高値追いするわけでも、大台を割り込んで下落するわけでもなく、19000円プラスマイナスほぼ30円の範囲にピタリと張りついて推移する変化のない午後。キリのいい数字は売り買いのポジションが集中しているとはいえ、まつすぐな道でさみしい。2時に12月の外食売上高が発表され、前年同月比+3.3%で4ヵ月連続プラス。ファーストフードなどのクリスマス商戦が好調。パブ・居酒屋は忘年会の来客数は多くても客単価が低下したため減収。2016年通年の売上高は前年比+2.8%増で2年続けてのプラス。ファーストフードは4年ぶりのプラス。ファミレスは5年連続のプラス。2時台に入ると水準が少しだけ上がる。為替のドル円は113円台半ばで徐々に円安方向。終盤は前日、前々日のような為替の円高を伴う先物主導の仕掛け売りの攻撃を受けることもなく、無事に後場の高値を取ってフィニッシュした。波風のない平和な一日だったのは、東京市場が「トランプ慣れ」した、ということか?