【今週の振り返り】 要人の「口から出れば世界」で149円下落した週

2017年01月21日 20:19

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トランプ次期大統領のドル高懸念発言、英国のメイ首相のEU完全離脱発言、イエレンFRB議長の利上げ回数発言、ムニューチン次期財務長官の強いドル発言

 16日の日経平均は大幅反落。前週末13日のNYダウ終値は5.27ドル安の小幅続落。S&P500はプラス。NASDAQは史上最高値を更新した。ロンドンFTSE100は14営業日続伸。フランスもドイツも株価は大幅反発。ミシガン大学消費者態度指数速報値は市場予測を下回ったが、12月の小売売上高は+0.4%で伸びが加速し4ヵ月連続プラス、卸売物価指数は燃料コストの上昇が影響して+0.3%で市場予測と一致、11月の企業在庫は+0.7%で市場予測と比べ在庫が積み上がった。強弱がまちまちで、アメリカの景況は決して快晴とは言えない。

 10~12月期決算の発表が本格化し、金融大手のJPモルガン・チェースもウェルズ・ファーゴも好決算を出したが、原油先物価格が反落し午後のダウの上値は抑えられた。NY時間の為替レートはドル円が114円台半ば、ユーロ円が121円台後半。大阪夜間取引終値は19250円。CME先物清算値は19300円。16日朝方の為替レートはドル円が114円台前半、ユーロ円が121円台前半と円高進行。

 15日、JAXAはコストの安い小型ロケットの打ち上げに失敗し、日本の宇宙ビジネスに暗雲漂う。日経平均始値は68円安の19219円。高値は9時16分の19255円。安値は0時35分の19061円。終値は192円安の19095円。取引開始前に経済統計の発表が2つ。日銀から12月の企業物価指数が発表された。前月比は+0.6%だが、前年同月比は-1.2%で市場予測より上。2016年通年の下落幅は-3.4%で前年の-2.3%より大きかった。内閣府から11月の機械受注統計が発表された。「船舶、電力を除く民需」は前月比-5.1%で市場予測の-2.0%を大幅に下回り、2ヵ月ぶりのマイナス。前年同月比は+10.4%。基調判断は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」で据え置きだった。

 東京は3日連続で氷点下になる寒い朝。9時前に為替の円高がさらに進行してドル円が114円を割り込みそうになり、今週の日経平均は68円安で始まる。25日移動平均より下で、TOPIXもマイナス。序盤下げても19200円台は維持し19200円台後半まで反発するが、ただの「いってこい」で急落し19200円を割り込む。日銀の黒田総裁が支店長会議で景気の現状について「緩やかな回復基調を続けている」、先行きについて「緩やかな拡大に転じていく」と述べていた。9時台は19200円近辺を維持したが、10時台になると19100円台半ばまで下落し3ケタ安に。就任式は5日も先だが、やはり就任演説待ちのポジション調整という需給要因。それに財務省の日本郵政<6178>株の放出という需給悪化懸念を呼ぶニュースが加わった。上海市場も安く始まる。ドル円114円台割れ寸前まで為替の円高が進行すると、11時台には19100円割れをわずか6銭差で回避。前引けの日経平均は3ケタ安、TOPIXも2ケタ安で、日銀のETF買いの条件を十分に満たした。

 前引け直後にドル円は瞬間114円割れ。「結局、EU離脱しないのではないか?」というマーケットの一縷の望みを打ち砕きそうな英国のメイ首相の「ハード・ブレグジット」宣言が噂され、それに端を発したポンド安が影響してリスクオフ。輸出関連セクターがさらに下げ、19100円をあっさり割り込んで後場再開。上海も安いまま。下げ幅は200円を超えるが19000円までは下げない。「心理的な節目」と言われるキリのいい数字には売り買いのポジションが集中する。1時台は日銀買いの効果も出たのか19100円台を回復。1時30分に経済産業省から11月の第三次産業活動指数が発表され、前月比+0.2%の104.1で4ヵ月ぶりの上昇。基調判断は「横ばい」。好調は情報通信、不調は早めの寒波襲来の影響を受けた生活娯楽関連サービス。本番の真冬の大寒波で凍りついたような株価は日銀買いが入ろうとなかなか溶けず、3ケタのマイナスで低迷。2時に日銀から発表された1月の「さくらレポート(地域経済報告)」は、全9地域のうち東北、関東甲信越、東海の3地域の景気判断を前回10月から引き上げたが、残りは据え置き。終盤、ドル円が再び114円を割り込み円高が進行するが、日経平均は19100円台前半で動きが乏しい。そのレベルを保てるのはやはり日銀買い効果か? しかし大引けは19100円を守りきれず終えた。日銀のETF買い703億円はこんな日でもきちんとやって来た。思惑で動く気まぐれな人間にとって、律儀者は苦手なものだが……。

 パソコン通信時代からの古参プロバイダーで昨年7月まで東証2部上場銘柄で、現在は富士通<6702>の完全子会社ニフティを神奈川県が地盤の家電量販店ノジマ<7419>が買収するニュースが14日に流れた。ノジマの株価は0.77%安。富士通は1.28%安。

 日経平均終値は192.04円安の19095.24円、TOPIX終値は-14.25の1530.64。売買高は14億株、売買代金は1兆8872億円という年明け一番の薄商い。売買代金2兆円割れは大納会の12月30日以来。値上がり銘柄数は323、値下がり銘柄数は1601。プラスは空運1業種だけ。マイナスは32業種で、その下位は鉄鋼、海運、鉱業、その他金融、石油・石炭、不動産など。上海総合指数は0.30%安。

 17日の日経平均は大幅続落。11月のユーロ圏貿易収支は259億ユーロの黒字で市場予測を上回ったが、英国の「ハード・ブレグジット」観測、排ガス問題で英国政府がFCA(フィアット・クライスラー)に調査に入るニュース、トランプ次期大統領がBMWに「メキシコ新工場の生産車のアメリカへの輸入に35%の関税をかける」とツイッターで〃脅迫〃したことなどで16日のヨーロッパ市場は全面安。ドイツも〃仮想敵国〃有力候補。年末年始をはさんだロンドンFTSE100の連騰も14でストップし15営業日ぶりに反落した。アメリカは「マーチン・ルーサー・キング牧師生誕記念日」の祝日で、NY証券取引所も債券・為替市場も休場。世界の企業を次々ツイッター攻撃する男、トランプ氏にもそれなりに「私には夢がある」のか? 朝方の為替レートはドル円が114円台前半、ユーロ円が121円近辺でユーロ安進行。大阪夜間取引終値は19050円。CME、NYMEXは休場。

 日経平均始値は56円安の19038円。高値は10時29分の19043円。安値は大引け直前3時00分の18812円。終値は281円安の18813円。IMFの世界経済見通しが発表され、全世界のGDP成長率は2017年+3.4%で据え置きで2018年は+3.6%。先進国は2017年+1.9%、2018年+2.0に上方修正。アメリカは2017年+2.3%、2018年+2.5%に上方修正。日本は2017年は+0.8%に上方修正されたが2018年は+0.5%で据え置き。日米とも政府の財政出動を見込んでいる。

 阪神・淡路大震災の発生から22年がたった朝。ドル円が直前に114円10銭台まで円高進行したため日経平均もTOPIXもマイナスで始まる。日経平均は序盤から昨年12月30日の大納会以来の19000円割れ。トランプ・ラリーのツケ払いのような連日のポジション調整に、大引け後の英国のメイ首相の演説待ちもある。9時台は18900円も割り込んだが、折り返し10時前に18900円台に戻る。一時、ドル円は114円を割り込んだが、この時間帯は円安方向。10時台には19000円台を回復する。しかし為替が円高方向に反転すると11時台はあっさりと19000円を割り込み、その約19円下で前引け。日経平均は3ケタ安、TOPIXは2ケタ安なので、日銀のETF買いの条件を満たした。

 後場は前引けより少し安く再開。当初は為替のドル円は114円をはさんでの小動きで、日経平均は19000円台を回復できない。1時30分に経済産業省から11月の鉱工業生産指数確報値が発表され、速報値と同じ前月比+1.5%の99.9。製造工業稼働率指数は+3.0%の101.0。1時台後半以降はドル円の円高が114円を割り込んで113円台半ばまでどんどん進行し、日経平均は18900円台を維持できず値崩れする。自動車など輸出関連セクターのみならず建設や不動産も金融も悪い。日銀買いが入っても、とても太刀打ちできないリスクオフ。大引け直前まで安値を更新しながら下げ続け安値圏で終了。終値19000円割れは12月9日以来。15分後、日経平均先物日中取引は安値引けしていた。日銀のETF買い703億円が入っていたが、為替の円高の前には焼け石に水だった。