これまでデザインの評価は、意識・言語による調査で測定されてきた。しかし、デザインに対する直感・第一印象・分かりやすさ・使いやすさなどは主観的なもので、その測定は難しいとされている。人間の意思決定の95%は「無意識」で行われると言われている。そこで、博報堂は、生活者の無意識・潜在意識をデザイン開発に活用するプログラム 「Sensory Research/Sensory Design with DPU」 を千葉大学発ベンチャー企業のBBSTONEデザイン心理学研究所と共同で開発、提供を開始した。
このプログラムでは、千葉大学工学部日比野治雄教授が開発したデザイン心理学に基づいて、直感・感性等非言語によるデザインの評価を行う。またその結果を認知心理学・人間工学の知見に基づいて解釈し、デザインの方向性を診断、それを反映したクリエイティブ開発を行う。
デザイン心理学に基づくデザイン開発コンサルティング 「Sensory Design with DPU」 博報堂のデザイナーや各専門領域のプランナーが、BBSTONEの専門領域である認知心理学・人間工学の知見を取り入れたデザインのプロトタイプ開発を行う。生活者の潜在意識・深層心理を捉える機能性(使いやすさ、わかりやすさ、)と感性(印象に残りやすさ、好き嫌い)を兼ねあわせたデザインは、プロダクトデザイン、パッケージデザイン、各種インターフェースデザイン(UI/UX)、webデザイン、空間デザインなど幅広い領域に対応可能だ。
デザインやブランド、クリエイティブへの直感による評価 「Sensory Research with DPU」 上記プロトタイプを対象に、ぱっと見た「第一印象」「直感的な好き嫌い」といったデザインへの主観的評価を、BBSTONEが所有する以下のデザイン心理学の手法を用いる。アイトラッキングを用いた見やすさの数値化、第一印象の数値化、官能主観評価と視線解析、潜在意識分析などの生体反応を測定して数値化する。それに心理テストや、心理学をベースにしたアンケートのデータを組み合わせることで、クリエイティブの評価を行い、デザインについての意思決定を支援する。
このように、博報堂が持つ生活者研究に基づく戦略立案力やデザイン開発力と、BBSTONEが持つ心理学に対する高い専門性と心理学実験関連のオリジナル技術を合わせることで、様々なビジネス課題や社会課題に対し、人間がデザインに対する直感・感性といった「ヒューマン・インサイト」を取り入れたデザイン開発を提案していく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)