米国の救命救急医療機器大手ゾール・メディカル社を旭化成が買収

2012年03月14日 11:00

 旭化成が、米国の救命救急医療機器大手であるゾール・メディカル社を買収すると発表。米国に新設した子会社を通じた公開買付により、ゾール・メディカル社の発行済普通株式の総数を総額約22.1億米ドル(約1800億円)で取得するという。ゾール・メディカル社の取締役会でも既に承認済みであり、友好的な買付・買収となる。

 旭化成のヘルスケア事業は、現在、泌尿器・骨領域・血液疾患等の医薬事業および透析等の血液浄化関連、バイオプロセス関連の医療機器事業の2つの領域により構成。これらの事業に加え、新たに成長を牽引する事業基盤として、今後もグローバルに成長が期待できるクリティカルケア(救命救急医療)分野への参入の機会を模索していた。

 ゾール・メディカル社は、世界で唯一の革新的医療機器である着用式除細動器「LifeVest」や、プロ市場で高い定評を有する医療機関・救急機関向け除細動器など、生命蘇生技術を中核に、救命救急領域にフォーカスした医療機器メーカである。年平均成長率16.0%と高成長を続けており、救急機関向け基幹システムでも米国最大手であるなど、米国に強固な事業基盤を有している。

 両社は昨年8月より、AED(自動体外式除細動器)「ZOLL AED Plus」を旭化成グループが販売を始めるとともに、ゾール・メディカル社の日本における薬事コンサルタントおよびマーケティングを旭化成グループ企業が引き受ける等、幅広い協力関係にあった。両社のさらなる協力関係の強化のため、今回の買収合意に至ったという。

 旭化成は、中期経営計画で2011年から2015年までの間に投資総額1兆円を予定しており、2015年に売上高2兆円、2020年には売上高2.5兆円から3兆円とする目標を掲げている。今回の買収はその一環。グローバルインフォメーションによると、救命救急医療市場は、2002年から2010年の複合年間成長率5%と堅調に推移しており、2010年以降2017年までに2.8%と緩やとはいえ確実に成長し、13億7240万ドルに達すると予想されている。世界の医療機器市場をけん引する米国に強固な基盤を持つことで、この成長の波に乗り、目標を達成することができるのか、今後の動向に注目が集まるところである。