生活者の社会意識 約8割の生活者が社会問題に「関心がある」

2017年03月14日 08:16

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博報堂研究開発局では生活者に関する様々な調査・研究を実施しているが、生活者の社会意識や社会行動などについて研究分析するため、「社会意識・行動に関する調査」を実施した

 博報堂研究開発局では生活者に関する様々な調査・研究を実施しているが、生活者の社会意識や社会行動などについて研究分析するため、「社会意識・行動に関する調査」を実施した。

 まず、社会問題に対して「(とても+やや)関心がある」と答えた生活者は回答者の約8割。高い関心を集めていることがわかる。ただし、時系列でみると、2010年調査時には約9割が「関心がある」と回答しており、その比率は年々、低下傾向にあるという。年代別では60代の関心度が高く、年齢が若くなるにつれて関心度が低下しますが、30代では若干高めとなった。

 生活者の関心が高い社会問題では「年金制度や老後の生活への不安」「高齢者介護・医療体制への不安」「インターネット犯罪」「社会マナーの低下」「国家財政の赤字拡大」「雇用の不安定化」などが上位になった。様々な領域の社会問題(35 項目)への関心度を尋ねたところ、特に関心が高かったのは、「年金制度の崩壊など、老後の生活への不安」となり、「とても関心がある」で約 4 割、「やや関心がある」まで合わせると、8 割以上の生活者が「関心がある」と回答した。続いて、「高齢者の介護・医療体制への不安(とても関心がある:28.1%)」が高くなっており、生活者は少子高齢社会に関連する問題に、特に高い関心を寄せているようである。

 その他にも、「インターネット犯罪」「社会マナーの低下」「国家財政の赤字」「雇用の不安定化」「少子化の進展」「職場での長時間労働の慢性化」「大震災への備え」など多様な社会問題に対して「とても関心がある」と回答した生活者は約2割程度となった。「やや関心がある」まで合わせると6~7割程度が「関心がある」と回答しており、生活者が様々な社会問題に関心を寄せていることが分かるとしている。

 性年代ごとに関心の高い社会問題を見ていくと、それぞれの年代の特徴が見られるが、30 代以上の全ての性年代で「年金制度や老後の生活への不安」は高い関心を集めていた。対象者に学生も含まれる10代では、「いじめ・不登校」が特徴的に高くなった。10-30代では「雇用の不安定化」「長時間労働」「ワークライフバランス」など、労働や働き方に関する項目への関心が高くなっている。また子育て世代となる30代女性では「いじめ・不登校」「子どもの知力・学力低下」が高く、40代になると男女ともに「社会マナーの低下」「インターネット犯罪」への関心が高くなり、子どもの成長と共に、社会マナーやインターネット犯罪などへも不安を抱くようになるのではないかと推察される。50代では「介護・医療体制への不安」が高く、自身の親の健康や介護の問題などに直面する年代である影響がありそうだ。60代では「原発再稼働・放射性物質処理」が特徴的に高くなった。

 「何か社会のために役立ちたい」と考えている生活者は約7割。その比率は年々、微減傾向。「何か社会のために役立ちたいと思っていますか」と聞いた質問では、「そう思っている」が21.8%、「やや思っている」と合わせると69.5%となった。多くの生活者が社会のために役立ちたいと考えていることが分かるとしている。ただ時系列でみると「そう思っている」の比率は、年々じわじわと低下傾向にあり、2010年には「思っている」計が76.5%あったが、2017 年には 7 割を切る結果となった。(編集担当:慶尾六郎)。