21日の日経平均は続落。前週末の17日、G20財務相・中央銀行総裁会議がドイツのバーデンバーデンで始まった。そのドイツのメルケル首相は訪米しトランプ大統領と会談したが、目新しいことは何もなくマーケットへの影響は限定的。ヨーロッパ市場は揃って上昇した。FOMCを通過して材料が出尽くし、ミシガン大学消費者マインド指数で期待インフレ率が低下して1980年以来の最低水準に落ち込んだこともありNYダウは19ドル安で小幅続落。NASDAQは続伸。S&P500は続落。原油先物価格は小幅高でもほぼ横ばいで48ドル台、金先物は続伸した。アメリカの長期金利が低下してドル、ユーロ売りと円買いが進行し、ドル円は112円台後半、ユーロ円は121円近辺。大阪先物夜間取引終値は19320円。CME先物清算値は19295円。3月期末の権利配当落ち分約130円を足すと19425~19450円。
G20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明は、前回の「保護貿易主義に反対する」「地球温暖化問題に関して『パリ協定』を尊重する」といった文言がカットされ、トランプ政権の〃圧勝〃。長いものに巻かれるばかり。
20日の上海総合指数は0.41%高。英国のEU離脱通知は29日と決まる。ヨーロッパの株式市場はその英国は上昇、安倍首相がこの日、訪問したドイツ、フランスは下落。週明け20日のNYダウは8.76ドル安で20900ドル台を維持したが3営業日続落。NASDAQは4営業日続伸。S&P500は3営業日続落。G20で保護貿易の主張が通ったことや今週相次ぐ連銀総裁発言待ちで軟調だった。原油先物価格は反落したが48ドル台。金先物は3営業日続伸。シカゴ連銀全米活動指数は0.36ポイント上昇し2ヵ月ぶりのプラス(0.34)になりマイナスの市場予測をいい方に裏切った。アメリカの長期金利が低下し、朝方の為替レートはドル円が112円台半ば、ユーロ円が120円台後半で前週末よりも円高が進行。CME先物終値は19270円で権利配当落ち分の約130円を足すと19400円前後。大阪取引所は休場だった。
日経平均始値は105円安の19416円。高値は10時46分の19485円。安値は9時23分の19337円。終値は65円安の19455円。3連休明けの日経平均は3ケタ安で始まり、すぐに19400円も19394円の25日移動平均も割り込む。TOPIXも1560割れ。朝から為替の円高進行が続く。9時台の下値追いは19337円で底を打って徐々に回復し、10時台に19400円にタッチする。為替は動かなくても25日移動平均の「座りのよさ」が復元力になる? 座りのよさも上値追いの妨げにならず、10時30分を過ぎると、冷たい雨の中、気象庁が平年より5日早く東京のサクラの開花宣言を出したのに合わせるように先物主導で買われ、上げ足を早めて19450円を突破。36円安まで下げ幅を圧縮し、TOPIXはプラス浮上寸前。しかし一気に「満開」とはいかず、日経平均は11時台は19400円台後半で電池が切れて前引けは51円安。TOPIXは-1.51で、前週3営業日連続で入った日銀買いが入るかどうか、五分五分というところ。
午前一時は112円台前半まで円高が進んだドル円は112円台後半に戻し、後場はほぼ前引け水準で再開・19400円台後半で小動きする。相変わらずの薄商い。3月の後場はこのパターンが目立つ。2時すぎまで変化のない横ばいが続き「まつすぐな道でさみしい」。2時台になると少し変化が出て、ドル円が円安に少し振れればTOPIXは瞬間プラスにタッチ。日経平均も下げ幅を圧縮するが今年の新語・流行語大賞候補?の「水面下」のまま頭を抑えられ元の位置に。プラスに浮上できないまま前引けになった。日銀のETF買いは入らず、前週後半の3営業日連続で途切れた。
住友不動産<8830>は17日、住友不動産販売<8870>をTOBで100%子会社化し「親子上場」を解消すると発表し0.43%安。住友不動産販売はストップ高比例配分で17.25%高、昨年来高値更新。M&Aのニュースは合併比率や規模が小さい方の株価が上がるもの。親子上場には、少数株主との利益相反、企業統治上で意思決定が遅れるなどさまざまな問題点が指摘されている。同じ財閥系不動産会社の子会社では、「三井のリハウス」の三井不動産販売(現・三井不動産リアルティ)は2002年に三井不動産の完全子会社化になり上場廃止。三菱地所住宅販売(現・三菱地所リアルエステートサービス)は株式を上場したことがない。
新規IPOが2件。3連休明けで停滞する主力銘柄を横目に、ともに東証マザーズへの上場初日に初値がつかず持ち越しになる人気ぶり。ヘルスケアソリューション事業、在宅サービス事業を行うインターネットインフィニティー<6545>は公開価格1320円の約2.3倍の3040円の買い気配で終了。福岡市が本社で、ラーメン専門店「博多一風堂」などの飲食店チェーンを運営する力の源(ちからのみなもと)HD<3561>は公開価格600円の2.3倍の1380円の買い気配で終了した。
日経平均終値は65.71円安の19455.88円、TOPIX終値は-2.43の1563.42。売買高は15億株、売買代金は2兆396億円。指数はマイナスでも、991の値上がり銘柄数のほうが862の値下がり銘柄数よりも多い。プラスは12業種で、その上位はその他製品、食料品、水産・農林、小売、化学工業、精密機器などディフェンシブ系が主体。マイナスは21業種で、その下位は証券、倉庫、保険、その他金融、銀行、鉄鋼など金融関連が主体。上海総合指数は0.33%高だった。
22日の日経平均は大幅に3営業日続落。アメリカ大統領選挙の「トランプ氏優勢」の開票速報で919円安とボロボロになった昨年11月9日以来で、今年最大の下げ幅だった。
英国の2月の消費者物価指数(CPI)は+2.3%でイングランド銀行(BOE)のインフレ率目標+2%を上回った。しかし英国も大陸ヨーロッパも株価は揃って下落。NYダウは237ドルで大幅に4営業日続落。11月以来の「トランプ相場」でこれまでなかった下げ幅だった。原油先物価格が下落して47ドル台で終えただけではない。発足からちょうど2ヵ月が経過したトランプ政権は、野党の民主党議員が「ドッド・フランク法撤廃法案の議会通過を阻止する」と言って銀行株が大幅安になったり、「オバマケア代替法案」に共和党内からも異論が出たりして、政権運営の先行き不透明。テレビ討論が行われたフランスの大統領選挙、北東アジア情勢への不安もぬぐえない。金融セクターの下げが大きく、リスクオフで金先物は4営業日続伸した。
アメリカの10~12月期の経常収支は4812億ドルの赤字で赤字幅が3.9%拡大。GDP比率は2.6%。住宅大手レナーの決算は増収減益、ナイキの決算は増収増益、フェデックスの決算も増収増益で、3銘柄ともEPS(1株あたり利益)が市場予測を上回った。宇宙船のような新社屋に引っ越し直前のアップルは廉価型の新型iPadを発表したが、株価は朝に52週高値をつけた後に下げてマイナスで終えた。アメリカの長期金利が低下し朝方の為替レートはドル円が111円台後半、ユーロ円が120円台後半で大幅な円高が進行。大阪夜間取引終値は19000円。CME先物清算値は18970円。権利配当落ち分を足すと19100~19130円だった。
日経平均始値は309円安の19146円。高値は9時26分の19183円。安値は2時53分の19026円。終値は414円安の19041円。取引開始前に財務省から2月の貿易統計が発表された。8134億円の黒字で2ヵ月ぶりの貿易黒字だったが、8500億円の黒字の市場予測は少し下回っていた。
アメリカの株安と為替の円高を受けて、日経平均は19100円台で300円を超えるマイナスで、TOPIXは20を超えるマイナスで始まる。開始3分後に日経平均は19100円ギリギリで「寸止め」の安値。序盤はドル円が円安方向に動いたので19100円台後半に値を戻す。しかし為替の円安はすぐに終わり、10時台は19100円台前半で動きがなくなる。日足一目均衡表の「雲」の上限19123円がサポートラインとして機能していたが、為替のドル円が111円台半ばまで円高方向に動いた11時台にはそれを下回ってしまい、前引けは390円安。TOPIXも大幅安で日銀買いの条件を十二分に満たした。
昼休みのドル円は円安方向に反転し、北朝鮮が元山(ウォンサン)からのミサイル発射に失敗したというニュース。世界の問題児。後場の日経平均は下げ幅を30円ほど圧縮して再開する。しかし19100円にはなかなかタッチできない。為替は動かない。300円を超える大幅安値圏のまま2時台も動きは乏しく、為替レートは変化がなくても「雲」の中でズルズルと下げていき終盤に安値を更新。75日移動平均線まで割り込む。それでも19000円の大台は死守するが、前日までドル建て日経平均が高値圏にあったこともわざわいして400円を超える今年最大のマイナス幅を記録して大引け。日銀のETF買い724億円は入っていたが、「助太刀」が参上しても歯が立たなかった。助っ人も枕を並べてむなしく討ち死にし、夕暮れにカラスが鳴いて木の葉が風に舞うような大幅安の1日だった。
小売業の2月の販売実績が業界団体から次々と発表されたが、今年2月の前年同月比はうるう年の反動分1日減-3.4%があり「向かい風参考記録」。前日の大引け後に日本フランチャイズチェーン協会から発表された2月の全国コンビニエンスストアの既存店売上高は-1.7%で5ヵ月ぶりのマイナスだが、実質はプラス。1時に発表された日本スーパーマーケット協会などから発表された2月の食品スーパー売上高は既存店ベースで-2.5%。5ヵ月ぶりのマイナスだが実質プラス。2時に発表された日本チェーンストア協会の2月の全国スーパー売上高は既存店ベースで-3.3%。3ヵ月連続マイナスだが前年同月比は実質横ばい。3時発表の日本百貨店協会の全国百貨店売上高は既存店ベースで-1.7%。12ヵ月連続のマイナスだが実質プラスで、コンビニ同様に健闘。訪日客向け免税売上高は+9.6%と好調だった。