13日の日経平均は続伸。前週末10日、ホワイトハウスで日米首脳会談が行われ、トランプ大統領は経済問題では貿易赤字や円安に言及せず、通商や為替は今後、麻生副総理とペンス副大統領の包括協議で話し合うとした。共同記者会見で大統領は「両国に恩恵をもたらす貿易関係を求めていく」と期待を示し、友好的なムードが漂っていた。トランプ大統領は会見後、安倍首相夫妻を大統領専用機「エアフォース・ワン」に同乗させてフロリダ州の別荘に招き、ゴルフや食事などで週末を一緒に過ごした。
10日のヨーロッパ市場は揃って上昇。「トランプ減税好感」の流れが続きNYダウは96ドル高と続伸して20200ドル台に乗せ、ともにプラスだったNASDAQ、S&P500とともに史上最高値を更新した。ミシガン大学消費者態度指数速報値は95.7で1月確報値から2.8ポイント低下し市場予測を下回った。財政収支の黒字は前年同月比-7.1%だが、現会計年度が始まった10月以来4ヵ月間の累計赤字は前年同期比-2.2%と健全化の方向。輸入物価指数はエネルギー価格の上昇で前月比+0.4%、前年同期比+3.7%で4年11ヵ月ぶりの高水準。輸出物価指数は前月比+0.1%、前年同月比+2.3%。NY時間の為替レートはドル円が113円台前半、ユーロ円が120円台半ば。大阪夜間取引終値は19350円。CME先物清算値は19340円だった。13日朝方の為替レートはドル円が113円台後半、ユーロ円が120円台後半で円安がさらに進行した。
日経平均始値は134円高の19513円。高値は取引開始直後の9時0分の19519円。安値は10時04分の19418円。終値は80円高の19459円。取引開始前に10~12月期のGDP速報値が発表され、年率換算実質+1.0%。+1.2%だった名目GDPとともに4四半期連続プラスで市場予測と一致した。2016年通年のGDPは実質+1.0%、名目+1.3%。これならリスクオフ懸念はなく為替のドル円は114円に急接近。15分早く始まった日経平均先物日中取引は19500円に乗せ、現物も3ケタ高、「NISAの日」は約1ヵ月ぶりの19500円台で始まる。TOPIXは2ケタ上昇。序盤いったん19500円を割り込むがすぐ復帰。円安が進みドル円は114円台に乗せる。しかし9時台後半には為替が円高に反転して113円台に戻り、日経平均も10時すぎには19418円まで下げて安値更新。そこでV字回復して10時台のうちに再び19500円に迫る。11時台は19500円にタッチする時間帯もあったが、前引けでは届かなかった。しかし3ケタの大幅高。日銀のETF買いが入る水準ではない。
後場はいきなり19500円を回復して再開するが、その瞬間だけ。後場はずっとドル円は113円台後半、日経平均は19400円台後半の水準で動かなくなり、上値追いも下落することもなく、そのままずっと推移する。終盤19450円付近まで下げる局面もあったが、大した波風は起きずそのまま大引け。変にワルノリすることも仕掛け売りで急落することもなく、徐々に春になるような動きだった。
日経平均終値は80.22円高の19459.15円、TOPIX終値は+7.64の1554.20。売買高は18億株、売買代金は2兆2682億円。値上がり銘柄数は1444、値下がり銘柄数は436。プラスは27業種で、その上位は鉱業、石油・石炭、非鉄金属、鉄鋼、海運、食料品など。マイナスは6業種で、その下位は不動産、証券、情報・通信、電気・ガス、繊維、保険など。上海総合指数は0.63%高だった。
14日の日経平均は3営業日ぶりの大幅反落。EU委員会の2017年の経済成長見通しは0.1ポイント上方修正して+1.6%。不確実性としてヨーロッパで選挙が相次ぐ政治リスクを挙げていた。それでも好感し週明けのヨーロッパ市場は続伸して全面高。NYダウは142ドル高で3営業日続伸。NASDAQ、S&P500とともに史上最高値を更新した。予告しただけの「トランプ減税」を材料にした高値ラリーが続く。そのトランプ大統領はホワイトハウスでカナダのトルドー首相と米加首脳会談を行い、NATO堅持、NAFTA見直しの意向を伝えた。メキシコと違いカナダとは「微調整」。記者会見でトルドー首相は「難民の受け入れは続ける」と明言した。OPECの1月の原油生産は-0.1%と減産だったがWTI原油先物価格は4営業日ぶりの下落。VIX指数(恐怖指数)はさらに低下し、金先物価格は3営業日続落。為替のドル円はNY時間に一時114円台だったが、アメリカの長期金利が低下し、朝方は113円台後半。ユーロ円は120円台半ば。大阪夜間取引終値は19500円。CME先物清算値は19505円だった。
日経平均始値は19円高の19478円。高値は9時18分の19501円。安値は2時59分の19232円。終値は220円安の19238円。「聖バレンタイン・デー」の日経平均は小幅高で始まる。TOPIXもプラス。両指数とも序盤はプラス圏を維持するが乱高下し、日経平均は19500円に瞬間タッチするだけ。そこは正午に決算を発表予定の「東芝<6502>こわい」心理。その後にイエレン議長の議会証言もある。悪魔は、そんなためらう心をグサリと突く。9時28分頃から為替の円高を伴う先物主導の仕掛け売りが大量に入り、日経平均はマイナス圏に落ち深く潜行した。押し目買いが入り急反発してプラスに戻っても、再びマイナスに。前場はその後、19400円台前半のマイナス圏で浮いたり沈んだり。10時30分に中国国家統計局から発表された1月の中国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+2.5%で市場予測を上回った。上昇率は12月から拡大し、2年8ヵ月ぶりの大きさ。4ヵ月連続で節目の2%を上回った。1月の工業生産者出荷価格指数(卸売物価指数/PPI)のほうは前年同月比+6.9%で市場予測を上回り5ヵ月連続プラス。これも12月から上昇率が拡大し5年5ヵ月ぶりの大きさ。中国リスクの懸念は去ったが上海総合指数の序盤は小安い水準。日経平均の前引けは31円安、TOPIXは-1.91で、ETF買いの条件を満たした。日銀という名の裏切り者はこの日、その汚名をそそぐのか?
東芝は正午の決算発表を延期した。為替レートは動かず、後場は前引けよりもマイナス幅を少し圧縮して再開するが、すぐ急落してアッと言う間に19400円割れし安値更新。決算発表延期で東芝についてさまざまな憶測が乱れ飛ぶが、民事再生法適用申請の噂まで出て悪い方にエスカレートするばかり。モヤモヤ気分を抱えたまま1時前、19361円まで下落する。ドル円は113円台後半で動かない。トランプ政権のフリン大統領補佐官(国家安全保障担当)がロシア制裁を巡る密約疑惑で辞任したというニュースが入り、マーケット心理をリスク回避に走らせた。
1時に不動産経済研究所が1月の首都圏・近畿圏のマンション市場動向を発表。前年同月比-7.4%で2ヵ月ぶりのマイナスで、1月としては2011年以来6年ぶりの低水準。平均価格は6911万円で+24.1%、1341万円も上昇し1991年6月以来の高水準で、首都圏ではマンションは「高嶺の花」。月間契約率も61.6%で好・不調の目安70%を下回った。一方、近畿圏は+55.3%で7ヵ月連続プラス。1月としては2010年以来7年ぶりの高水準で、戸数が首都圏を上回った。月間契約率は75.1%と好調。マンションは関西では売れている。1時30分に発表された12月の鉱工業生産指数確報値は、前月比+0.7%上昇の100.6で速報値から上方修正された。製造工業稼働率指数は電機、化学、自動車が好調で+0.6%の101.6。円安の好影響が出ている。生産能力指数は94.5で横ばい。
1時台には「フリン問題」でドル売りが出て為替のドル円も113円台前半に円高進行し、日経平均も一時19300円を割り込み安値更新。通貨単位は違うがNYダウとの差が1000を超えて開くばかり。その後1時間ほどは19300円を少し超える水準で小康状態だったが、2時台の後半になって再び下げて19300円を割り、マイナス幅は200円以上に拡大し、日経平均は一時19250円を割る。東芝が決算発表を最長で1ヵ月後の3月14日まで延期するとアナウンスしていた。ということは「ホワイトデーの虐殺」? 後場の東京市場をかく乱した「東芝・フリン急落」は大引け直前まで続き、ほぼ安値引けで終了した。朝のつかの間の19500円から午後の「一寸先は闇」まで、日中値幅は269円もあった。日銀のETF買い704億円は入らなかった。「正義の味方」がダークサイドに堕ちた「裏切り者」は、たとえ改心しても後場は処置なしだったと思われる。
「決算発表ドタキャン」で市場関係者もメディアも投資家もさんざん振り回した東芝は8.01%安。売買高は3億株を超え、東証1部全体のおよそ7分の1を占め1位。志賀会長が辞任。夕方に監査をまだ受けていない決算の参考値を発表し、原子力事業の減損処理7125億円。通期の売上高5兆5200億円、営業損益4100億円の赤字、最終損益3900億円の赤字。株主資本は12月末は1912億円の債務超過でも、通期ではそうならないと説明している、が……。清涼飲料水でコカ・コーラとの業務提携を断念したキリンHD<2503>は3.24%安。希望退職募集で167億円を特損計上し通期見通しの最終赤字が拡大したニコン<7731>は14.60%の大幅安で値下がり率1位だった。