脳とコンピュータをつないで直接操作 イーロン・マスクが新会社Neuralink設立へ

2017年04月11日 08:37

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テスラやスペースXのイーロン・マスク氏は生物的インテリジェンスとデジタルインテリジェンスの、より密な融合を目指して新たな事業の設立に乗り出した。具体的には脳とコンピュータをつなぐ速度を画期的に高める。

 テスラやスペースXのイーロン・マスク氏は生物的インテリジェンスとデジタルインテリジェンスの、より密な融合を目指して新たな事業の設立に乗り出した。人間がテキストを読み書きするのに比べて、コンピュータ間の情報転送速度はその1兆倍とのこと。スマホによる検索がいくら高速化してもその前段階である「スマホを手に取り、画面をアンロックし、ブラウザを立ち上げ、検索キーワードを入力する」といった人間の操作がある限り一連の処理の高速化には限界がある。同氏はこれを解決する手段として人間の脳とコンピュータの直結する「ニューラル・レース」の実現を打ち出している。

 マスク氏は、以前より繰り返し言及してきたニューラル・レースに関して、このほどこれを実現する技術開発の新会社「Neuralink」を設立。事業内容は明らかになっていないが、登記上は「医療研究」の会社となっており、てんかんや重度のうつ病、パーキンソン病など、脳に関連する可能性のある疾患の治療を目的とした製品の研究開発が進められるとみられている。この分野の研究の第一人者もすでに採用が決まっており、資金に関しては同氏自身が出資しているほか、PayPal共同創設者ピーター・ティール氏が創業した投資会社「Founders Fund」からも調達済みだ。

 ニューラル・レースでは、電極の紐を大脳皮質に埋め込むことで脳とコンピュータをつなぐニューラル・インターフェイスを形成。思考をコンピュータにダウンロードしたり、コンピュータから思考をアップロードしたりできるようにする。人間とコンピュータの境界が曖昧になることに関して、マスク氏は「人間はすでにサイボーグ」と言及し、人工知能の台頭による諸問題に関して、「機械に勝てないなら、それになってしまえばいい」とも述べている。技術内容については賛否あるとしても、同技術が実現し、人間の能力が飛躍的に拡張されるとすれば、取り残されないためには、「人間と機械のインテリジェンスの共生」を選択せざるを得ない状況が生まれると予想される。現在Neuralinkのホームページにはロゴと採用窓口のメールアドレスがあるだけで、同技術の実現可能性や時期については不明だが、自動運転技術やロケットの開発を着実に進める同氏のプロジェクトなだけに、人類の進歩にとって大きな影響を与える可能性は否定できない。(編集担当:久保田雄城)