自宅のリハビリをロボットが支援 理学療法での目標達成で有効性

2017年03月02日 09:54

 理学療法での課題として患者の意欲が続かないことが問題とされる。特に年齢その低い患者の自宅での運動継続は、意欲を保つのがとても困難となる。ジョージア工科大学の研究チームは、ロボットが理学療法を受ける際の患者の意欲向上に役立つことを明らかにした。実験では支援ロボット「ダーウィン」が、患者の動きが指示と異なる場合の動作の実演や、励ましの言葉かけを適切なタイミングで行った。理学療法での患者の動きを3次元動作追跡装置にて観察した結果、1件を除くすべての実験で患者の活動量に著しい改善が見られたとのこと。

 十分な治療効果を得るには毎日の運動が欠かせない。支援ロボットを活用することで、意欲が続かない人のほか、理学療法に通えない人や経済的事情で理学療法士の治療を受けられない人に対して毎日の治療が行えるようになる。実際、アトランタ在住の脳性麻痺の女児は、「ダーウィン」による自宅の治療を開始しているとのこと。現在は理学療法の支援ロボットとして活用される「ダーウィン」だが、小児保育の現場や高齢者のケアにも役立てられるべく研究が進められている。

 意欲の継続は運動全般において重要なポイントとなり、これを促して運動効果を高める支援ロボットの能力は、さまざまな分野で応用可能だ。たとえば、ダイエットや日々のエクササイズにおいても支援ロボット活用による意欲向上へのニーズは高いと考えられる。eSPORTSが全国の20代後半~30代の女性330名名に行った調査からは、自宅でのダイエットを望む人が46%いることがわかっている。また、自宅でダイエットをする人のなかの49.3%の人が「正確な方法で効果を出したい」と望んでおり、間違った動作に対する指示が重要となる。ただしビデオ通話などを使った運動指導サービスについては、「マンツーマントレーニングを受けたくない」と回答した人が85%となり、理由としてはビデオ通話でのコミュニケーションに不安を感じることが挙げられた。自宅でのトレーニングを望んでいても、動きが不正確になることに不満を感じたり、たとえビデオ通話であってもトレーナーとコミュニケーションをとることに抵抗があったりする人が多く、こうしたニーズを支援ロボットが汲み取り、運動の継続を促すことが可能になると考えられる。(編集担当:久保田雄城)